欧州

2024.11.08 09:30

ウクライナ、1100キロ離れたカスピ海のロシア艦艇をドローンで攻撃

アエロプラクトA-22軽量スポーツ機。2011年6月、ウクライナ・ジトーミル(dragunov / Shutterstock.com)

ジョー・バイデン米大統領はこれまで、ウクライナの深部攻撃作戦を全面支援することに消極的だった。トランプはその作戦に露骨に断固反対するとまではいかなくとも、バイデン以上に消極的になる公算が大きい。米共和党はウクライナよりもロシアの意に沿う姿勢に傾いてきている。重罪で有罪評決を受けているトランプは、ロシアに欧州で「やりたいように」させると脅した男でもある。
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ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は6日、トランプの当選に大げさなほどの祝意を示し、次期大統領の歓心を買おうと躍起になっている。ゼレンスキーはソーシャルメディアでトランプに宛てて長文のメッセージを送り、「トランプ大統領の断固たるリーダーシップのもと、強い米国の時代が到来することをわたしたちは心待ちにしています」とつづっている。

英オックスフォード大学のサミュエル・ラマニ教授(国際関係論)は「現時点では、トランプがウクライナでの戦争に与える影響については不透明な部分が多い」と書いている。いずれにせよ、共和党がこれまで脅してきたように、トランプが実際にウクライナに対する援助を打ち切ったとしても、ウクライナに国家の存亡がかかった戦争を遂行するための手段がまったくなくなるわけではない。

A-22改造ドローンでのカスピ小艦隊の停泊地に対する襲撃は、ウクライナが短期間のうちに多種多様な国産の深部攻撃兵器を取り揃えるようになったことの証左でもある。ロシアがウクライナに対する戦争を拡大した2022年2月時点では、ウクライナに実戦使用可能な深部打撃兵器は皆無だった。いまでは何種類もある。
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この先、在庫はさらに充実するだろう。ウクライナの産業界は最近、ターボジェットエンジンを搭載し、射程650キロメートルほどとみられる巡航ミサイルのような「ロケットドローン」、パリャヌィツャを開発した。リトアニアの資金援助も得て量産を進めているもようだ。

パリャヌィツャはA-22改造ドローンほど遠くまでは飛べない。半面、スポーツ機型ドローンが既存の機体をベースにして少量ずつ手作業で製造されるのに対して、パリャヌィツャはウクライナの急成長するドローン産業界が一から大量生産できる。

ゼレンスキーは8月下旬にパリャヌィツャを初めて戦闘で使用したと明らかにし、その後、攻撃した場所はロシアの占領下にあるクリミア半島のどこかだったと報じられている。ミハイロ・フェドロウ副首相デジタル変革相はパリャヌィツャについて「ゲームチェンジャーになると思う」と語っている。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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