政治

2024.06.01 08:00

有罪評決のトランプ、「収監」もなくはない シークレットサービス引き連れ

lev radin / Shutterstock.com

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ドナルド・トランプ前米大統領は5月30日、元不倫相手とされる女性への口止め料を隠すために業務記録を改ざんした罪で陪審団から有罪評決を受けた。米国の大統領経験者が犯罪で有罪とされたのは史上初だ。蓋然性は低いが、判事から実刑判決を言い渡される可能性もある。「元大統領の収監」という前代未聞の事態になれば身辺警護などが非常に複雑になるほか、政治的に大きな影響が広がるとみられている。

罪状34件すべてで有罪

トランプは2016年の大統領選で勝利する可能性を高めるため、不倫関係にあったと主張しているポルノ女優ストーミー・ダニエルズに口止め料を支払い、それを弁護士費用と偽って会計処理したとして、2023年3月にニューヨーク州の大陪審に起訴された。ニューヨーク・マンハッタン地区の陪審員12人は約9時間半におよぶ評議の結果、トランプを34件の罪状すべてで有罪とする評決を下した。

量刑は7月11日にフアン・マーチャン判事から言い渡される予定だ。罪状34件は重罪に分類され、それぞれについて最高5000ドル(約78万円)の罰金や最長4年の禁錮刑を科される可能性がある。トランプ側が控訴するのはほぼ確実で、裁判はさらに数カ月長引くとみられる。

トランプが初犯であることや罪状の性質から、法律の専門家の間では実刑判決はありそうにないというのが一般的な見方だ。しかし、トランプが法廷外での証人や陪審らへの言及を禁じた「かん口令」をたびたび破っていることや、罪に問われた行為の結果の重大性を踏まえ、マーチャンがより厳しい量刑を科す可能性もある。

禁錮刑ならどうなる?

マンハッタン地区の元検事で現在は刑事事件の弁護士を務めるジェレミー・サランドは、評決が出る前にフォーブスの取材に応じ、検察側の説ではトランプの行為は2016年の選挙結果を変えた可能性があるのだから、初犯なら通常は禁錮刑とならない「ありふれた金融詐欺」とは「刑罰の点で異なる扱いを受けてしかるべきだろう」と述べている。

サランドによると、ニューヨーク州では過去10年に重罪で有罪とされたことがない犯罪者がE級重罪(最も軽い重罪)で有罪とされた場合、刑期は3分の1を区切りにして与えられる。たとえばトランプが禁錮3年を言い渡された場合、1年後には仮釈放の資格を得られる。

トランプが1年以下の禁錮刑を言い渡された場合、ライカーズ島などニューヨーク市の刑務所に収監され、刑期の3分の2を終えた時点で仮釈放の資格を得る可能性が高いという。1年超の禁錮刑になった場合は、ニューヨーク州の矯正当局が州内に44ある施設のうちどの施設に送るかを決めることになる。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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