起訴状はまだ開示されておらず、トランプが何の罪で起訴されたのかは明らかになっていない。CNNは、ビジネス詐欺に絡む30あまりの罪に問われていると伝えている。
トランプの弁護士スーザン・ネクレスはニューヨーク・タイムズの取材に、トランプは4月4日に罪状認否のためマンハッタンの州最高裁に出頭する見通しだと答えている。起訴が発表されたとき、トランプはフロリダ州の邸宅「マーアラゴ」にいた。
捜査を指揮するマンハッタン地区検察局は同日夜の声明で、トランプの弁護士と連絡をとり、出頭について調整を進めていると明らかにした。「罪状認否の日時が選択されしだい、ガイダンスが提供される」としている。
トランプのチームはこれまでに、トランプが自主的に出頭する意向であることを示唆している。出頭後、トランプはマンハッタン地区検察局で一時的に逮捕されるとみられる。指紋採取や容疑者としての写真撮影が行われたあと、罪状認否に臨み、その後釈放されるという運びになる公算が大きい。
トランプは「考えられないこと」「魔女狩り」と反発
トランプは30日午後に声明を発表し、起訴は「考えられないこと」だと批判。「『米国を再び偉大に』運動を破壊するための魔女狩り」の最新の動きだと断じた。マンハッタン地区検察局の捜査は、トランプの元顧問弁護士マイケル・コーエンが2016年の大統領選に先立ち、トランプとダニエルズの過去の不倫関係を隠すため、ダニエルズに13万ドル(約1700万円)を支払ったとされる問題をめぐるもの。トランプはコーエンへの弁済分の経費を「法務費用」と偽って申告しており、専門家の間では軽犯罪にあたる業務記録改ざんで訴追されるのではないかとみられていた。
検察側はダニエルズへの支払いは違法な選挙献金にあたるとして重罪に問う可能性もあるが、こうした法理論が実際に試された例はほとんどない。
法律の専門家らは検察側がトランプを有罪にもち込めるかどうかは、トランプが選挙で有利になるように記録の改ざんや支払いの手配に直接関与していたことを立証できるかにかかっていると解説している。
トランプ側はコーエンがトランプの政治活動とは無関係に、トランプのあずかり知らないところで、日常業務の一環として支払いを行ったと主張するとみられる。口止め料の支払いについては、大統領選での勝利に向けたものではなく、あくまで個人の恥辱を防ぐためのものであり、選挙運動とは無関係だと主張すると考えられる。
トランプに対してはこれとは別に複数の捜査が進められている。ジョージア州の検察はトランプが2020年の大統領選での敗北を覆そうとした問題について捜査しており、司法省は2021年1月6日の議会襲撃事件に先立つ数週間のトランプの行動と、機密文書の取り扱いをめぐってそれぞれ捜査を実施している。
さらにニューヨーク州の司法長官は、トランプとその子どもたちが資産価値を不正に高く評価してより有利な融資を受けていたとして、民事で訴訟を起こしている。
(forbes.com 原文)