無人空中空母の機動部隊
ドローン運搬ドローンも、ドローンが行けるところならどこにでも行けるだろう。原理的には、ロシアの「シャヘド」やウクライナの「ボベル(ビーバー)」「リューティー(獰猛)」といった長距離攻撃ドローンも、単弾頭に代えて複数のFPVドローンを搭載すれば、駐機中の航空機や燃料貯蔵施設といった脆弱な目標に対して複数回の精密攻撃を加えることができる。それには衛星通信か高度なAI(人工知能)ターゲティング(目標指定)が必要になるだろうが、どちらも利用できるようになっている。FPVドローンはすでに前線のかたちを変えており、ロシア軍は戦車が撃破されるのを防ぐため、幅10kmほどの「戦車禁止区域」を設けているとも報じられている。ドローン運搬ドローンは、この危険区域をさらに数十ないし数百km広げることになるだろう。
次に問題になるのは、敵のFPVドローン母機をどのように阻止するかということになる。それは迎撃FPVドローンの仕事になると思われる。歴史は繰り返さないが、韻を踏む。FPVドローンを搭載する無人空中空母は、護衛にあたる戦闘ドローンやその他の支援ドローンを含む機動部隊として展開するようになるかもしれない。進化は数年ではなく数カ月の単位で起こるだろうし、ロシアとウクライナ以外の国々も動向に注目しているに違いない。
(forbes.com 原文)