2. 私たちは本能的にネガティブなことに気づくようになっている
人には、本能的にポジティブな情報よりもネガティブな情報に注意を向ける傾向がある。これを心理学用語で「ネガティビティバイアス」という。この傾向によって、私たちはより暗いコンテンツに引き寄せられる可能性がある。私たちの祖先が生存に対する脅威に警戒しなければならなかったことを考えると、これは進化の観点から見れば完全に納得がいく話だ。それと同様に、私たちがメディアを消費する際、私たちの脳は潜在的な脅威を警戒し、危険に備えるための学習機会を得ようとする。その結果として、不道徳なニュースや血なまぐさいドキュメンタリーのようなネガティブなコンテンツには、幸せなニュースや日常的な物語よりも、緊急性を感じ、無視することが難しく感じられるのだ。
ニュースメディアはこの生存メカニズムを利用し、ネガティブで感情を挑発する言葉を用いて、拡散したいニュースを広めていることが、2023年に科学学術誌『Nature』誌に発表された研究でわかった。研究者たちは、ニュースの見出しにネガティブな言葉を使うとメディア消費率が上がり、肯定的な言葉を使うと下がることを発見した。
このようにメディア企業がネガティブな話を作り続けるため、私たちが生まれつき持っているネガティブなものに引かれる傾向は絶えず不当に利用され続けている。このことが、ポジティブな内容や中立的な内容に集中することを難しくしている。