「スロー」はラグジュアリーなのか プロセスと結果の関係とは

MIGO for Benchmark. Photo: Jason Yates

結果的に、それがデザイナーとしての自分の価値を実感することにもなったと言います。
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「もう2つのプリンシプル、“謙虚”と“オープン”にもつながってきますが、良くできたものを実現するためには、デザイナーとしてのエゴや固定観念を排除し、社会やエコシステムへの影響や責任を認識することや、最新技術や新しい要素に常に好奇心を持ちつつも、闇雲に飛び付かずに事実に基づき吟味して、自分の中で消化してから実践に反映していくという姿勢が必要だと考えています」
PRISM for TECTA. Photo: Studio für Gestaltung

PRISM for TECTA. Photo: Studio für Gestaltung

時代を越えるデザインには「2種類ある」と、ヒーンは言います。ひとつは、静かなデザイン。「極端に単純化され主張のない日常に溶け込むデザイン」だと説明します。

「もうひとつは、自分が実現しようとしていることでもありますが、今の時代精神だけでなく未来を掴み『主張する』デザイン。陳腐に聞こえるかもしれないけれど、結局のところ、それは美とは何かを探求するデザインであり、計画してつくられるものではありません。これまでの時代を超えたデザインを見てもわかりますが、ほとんど偶然のように誕生している。そういった、どこにあるのか、いつ現れるのかわからない美しさを追求することこそが、私たちデザイナーの存在意義ではないでしょうか」

彼にとっての「スロー」とは関係性の築き方であり、こだわりや自尊心にしがみつかず、忍耐強く継続する開かれた姿勢です。それは未知のもの、予期していないもの、訪れるかわからないものを受け入れるというスタンスであり、究極的には時代を超える美を追求することになるのでは、という視座にはとても感銘を受けました。
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安西さん、「スロー」からどんなことを連想されますか?
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文=前澤知美(前半)、安西洋之(後半)

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ポストラグジュアリー -360度の風景-

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