欧州

2024.07.23 09:30

ロシア軍、オートバイ突撃の教習始める 訓練で生存率が上がるかは疑問

この戦術は理論的にはまっとうなものだが、実際は戦場の過酷な状況に直面してあまりうまくいっていない。ウクライナ側のドローンと地雷はいたるところにあり、それぞれ空中と地中に密集しているので、最も敏捷なバイク兵でさえ避けるのは難しい。

OSINTアナリストのアンドルー・パーペチュアが確認したところでは、ロシア軍のオートバイの損害は4月に18台、5月に80台、6月に55台となっている(編集注:数字は各月に確認された損害の数で、損害が発生した時期は多少ずれることがある)。6月28日に東部ブフレダル方面であったロシア軍部隊の突撃では、ウクライナ側の地雷やドローン、大砲、ミサイルによってオートバイ少なくとも19台が撃破され、乗っていた兵士多数が死亡するか重傷を負った。

パーペチュアの集計によれば、全地形対応車も同様に損害がかさんできているもようだ。7月15日ごろには北東部クプヤンシク方面で失敗に終わった突撃で、ロシア軍の全地形対応車5台が炎上し、乗っていた兵士らは死傷するか退却している。

ロシア軍では、十分な装甲車両を入手できず、引き続き全地形対応車やオートバイで代用しなくてはならないのであれば、少なくともこうした車両を用いる戦術の改善を図る必要がある、というのがコンセンサスになっているようだ。

第5旅団はそのために「学校」を設立する最初の部隊になるのかもしれない。最初のブロガーは皮肉交じりに「第5旅団とバイク学校はすばらしい」と記し、ほかの旅団もそれに倣うかもしれないと付言している。

バイク部隊の生存可能性を高めるような戦術の改良を想像してみることはできる。たとえば、状況認識能力やクロスカントリー(路外)踏破スキルを改善すれば、地雷を回避するのに寄与するかもしれない。夜間の走行は暗視ゴーグルを使っても難しいだろうが、ドローンの攻撃を避けやすくなるかもしれない。赤外線センサーを搭載したドローンはまだ多くないからだ。
次ページ > 第一次世界大戦中にドイツ軍が残した教訓

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

ForbesBrandVoice

人気記事