これらの在庫は戦争拡大前には相当な数があった。Highmarsedが衛星画像で確認したところでは、各地の屋外施設で保管されている戦車は合計で6200両あまりあった。内訳はT-62が1800両超、T-72が約2000両、初期型のT-80が1400両などだった。
このうち、T-62は700両近く、T-72は約550両、T-80は約1100両が、今年半ばまでに再整備のため引き出された。T-72のうち初期型のT-72ウラルとT-72Aはあまり引き出されず、1000両ほどが残っている。これは取り扱いが面倒な自動装填装置を装備していることと関係があるのかもしれない。
T-80とT-72Bの在庫は払底してきているが、T-62はなお約1100両が残存し、修復・再就役を待っている。資金や労働者、部品の不足が原因で新しい戦車の生産が依然として遅れているために、1960年代にさかのぼるT-62が、2020年代半ばのロシア軍でますます大きな役割を果たす方向になっている。
T-62は高性能な戦車ではなく、ウクライナ軍で最も多く使われているT-64戦車より劣るのも明らかだ。地雷やドローン、大砲、ミサイルにも弱い。OSINTアナリストのアンドルー・パーペチュアはロシア軍が使っているT-62について、「なんとか使い物になる」ように改修されているが、それもあくまで「1980年代の基準」でのことだとコメントしている。
だが、戦車の損失ペースが新造ペースを大幅に上回る状態が続く限り、なんとか使い物になる戦車は、ロシアにとって、ある程度の数を調達できるものでは最高の戦車ということになりそうだ。
(forbes.com 原文)