欧州

2024.07.07 09:00

ウクライナが「迎撃ドローン」を実戦配備 無人偵察機やランセットの撃墜重ねる

最近の動画によれば、ウクライナ軍のFPVドローンはロシア軍のランセット自爆ドローンも目標への飛行中に迎撃している。偵察ドローンが上空を数時間旋回することもあるのに対して、ランセットの飛行時間はせいぜい数分だ。そのため、ランセットの迎撃にはセンサーや防空指揮所、ドローン操縦士の間で相当な連携が必要になる。ランセットの迎撃も、統合されたシステムが機能していることをうかがわせる。

米欧のドローンメーカーは専用の迎撃ドローンを手がけている。英マースのインターセプターMR、米レイセオン・テクノロジーズのコヨーテ、米フォーテム・テクノロジーズのドローンハンター、米アンドゥリル・インダストリーズアンビルロードランナーなどだ。ただ、これらは比較的大型で高価なミリタリーグレード(軍用級)の製品であり、イラン製のシャヘド自爆ドローンやそのロシア版のゲラニ2のような目標の迎撃に向いている。

「空飛ぶ地雷原」まであと一歩

対ドローン兵器としての安価なFPVドローンは、ゲームチェンジャーになる可能性がある。また、迎撃や接近阻止の対象となる目標はドローンに限らないかもしれない。被弾させるにはいたらなかったものの、ウクライナ軍のFPVドローンはこれまでに少なくとも2回、ロシア軍のヘリコプターを追尾していることが動画で知られている。自動誘導やルートの選定で命中する確率は高まるだろう。FPVドローンの被弾リスクは、ヘリのパイロットに射程内への接近をためらわせるに違いない。これは、ヘリが実際に損傷する数以上に大きな効果を与える可能性がある。

対ヘリ・ドローンから、ドローンの大群によって敵の航空機に対する移動可能で致死的なバリアを空中に張る「空飛ぶ地雷原」までは、あとほんの一歩だ。

ロシアも迎撃ドローン公開

迎撃ドローンはウクライナ軍だけでなくロシア軍も使用できる。ロシアの企業レッドラインはこのほど、ボガン9SP迎撃ドローンを発表した。弾丸のような形状をしたこのドローンは最高時速200km近くに達し、自動で誘導される。目標に一定距離まで近づくと金属片をまき散らす近接榴散弾頭を搭載しているので、目標に命中させる必要はない。その空力デザインは、3月にF1(フォーミュラ・ワン)カーを追跡してみせた最高時速350kmの「世界最速の撮影ドローン」を思わせるところがある。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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