つまり、10万機のFPVドローンは「多数」の火力ではあっても、あまり「強力」な火力ではない。FPVドローンは無防備な歩兵にとってはきわめて危険だが、装甲車両は普通、FPVドローンによる複数の攻撃をしのぎ、戦闘を継続できる。
だが、それが変わりつつあるようだ。ウクライナ軍のドローン部隊は、FPVドローンの破壊力を大幅に高める方法を見つけたらしい。最近、ウクライナ東部ドネツク州で、ウクライナ側の防御線に向けて進んでいたロシア軍のT-80戦車のケースを検討してみよう。
ウクライナ軍第47独立機械化旅団の偵察ドローンが上空から監視するなか、1機のFPVドローンが重量40t強・乗員3人のT-80の前方を横切って飛んでいく。このT-80は爆発反応装甲のブロックやドローン対策のスクリーンをまとっている。
FPVドローンは旋回し、T-80に突っ込んでいく。戦車はたいていの場合、FPVドローンの攻撃を受けても軽微な損傷で済む。ところがこのT-80はドローンの直撃後に大爆発を起こし、炎上する。砲塔は車体から吹き飛び、乗員は車体内で焼かれている。
Say it Ayden, say it……
— Rocke Fella - NAFO Raccoon Spec Ops (@NAFORaccoon) May 19, 2024
Ukraine’s 47th vs russian T-80 in Donetsk pic.twitter.com/zfEAVpHlpy
スウェーデンのボフォース社が開発したRBS-56ビルに搭載されている11kgほどの弾頭は、ミサイル下面のセンサーで起爆されると前方ではなく下方に爆発する。そのため、戦車の上面の薄い装甲を狙って攻撃する「トップアタック」ができる。