6日にソーシャルメディアで拡散された動画には、おそらく爆発物を搭載しているに違いないウクライナ軍のFPV(一人称視点)レーシングドローンが、ロシア空軍のカモフKa-52攻撃ヘリコプターを迎撃しようとし、もう少しで成功するところだった様子が映っている。
Unsuccessful attempt to attack a Russian Ka-52 helicopter using kamikaze FPV. The helicopter was faster, this time. https://t.co/uJ9mIRfyIQ pic.twitter.com/f1PwshLZoK
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) September 6, 2023
ドローンは中国DJI製の「Mavic 3」だ。約900グラムと軽量で、価格も3000ドル(約44万円)と安価だが、最高飛行速度は時速65km程度にとどまる。対して、重量12トン、1機1000万ドル(約14億7000万円)ほどするKa-52は、最高時速320kmほどで飛行できる。
もっとも、Ka-52はスピード頼みでいつも急場をしのげるとは限らない。このヘリの最高の武器はなんといっても、約40kgのいわゆるビームライダー(電波ビームで誘導されるミサイル)、ビーフリ(ロシア語で「旋風」の意味)対戦車誘導弾である。ビーフリを使う場合、Ka-52は地上から数十m上空でホバリングしながら、目標から最大10km程度離れた場所からレーザービームを照射し、それに沿ってミサイルを撃ち込むという手順になる。
問題は、ミサイルが着弾するまでKa-52はその場から動けないという点だ。発射から着弾までには数十秒かかることもあり、これはウクライナ軍の防空網が付近にある場合、長すぎる時間だ。ウクライナでの1年7カ月におよぶ激しい戦いで、ロシア軍がKa-52を少なくとも41機、経験豊かな航空要員を多数失ったのは、理由のないことではない。
ウクライナ軍は、新たに取得したスウェーデン製RBS70レーザー誘導防空ミサイルでもKa-52の搭乗員を苦しめている。
Ka-52はレーザー誘導ミサイルに対する妨害装置を備えているものの、それによって必ずレーザー誘導ミサイルから身を守れるとは限らない。とくにRBS70は防御するのが難しい相手になる。