いまから振り返れば、数十億ドル相当の砲弾やミサイル、その他の弾薬を破壊したこれらの攻撃は、ウクライナを弱体化させて、その後の本格戦争を戦う力を削ぐ効果的な方法だったと言える。
米国では造船所撮影で中国人訴追
いまは立場が逆転し、ロシアが各地でドローン攻撃に見舞われる側になっている。数km飛び、壁やフェンスを越えることのできる脅威に対して、国全体のインフラを強化するというのは難題だ。もっとも、ドローンによる破壊工作は引き続きロシアも行うことができる。ここ最近、リトアニアのビリニュスにあるIKEAの店舗やポーランドのショッピングモールなど、欧州各地で相次いでいる火災は、ロシアの破壊工作の疑いがあるとされている。小さな発火源で大規模な破壊を引き起こす放火は、破壊工作でのドローンの利用法としてすぐに思いつくものだ。ロシアは、ウクライナで行った破壊工作でドローンがどれほど効果的であったかを忘れてはいないだろう。
米国でも先日、空母や原子力潜水艦が建造されているバージニア州のニューポートニューズ造船所を撮影するため上空にドローンを飛ばしたとして、中国籍の男が訴追されている。
小型ドローンは100万機単位で生産されており、世界中で入手可能だ。ロシアで今後起こることは、強い意志をもった少人数のグループが、ドローンによる破壊工作でどれほどの被害をもたらし得るかの教科書的な事例になるかもしれない。そして、それは他国にとっては学ぶべき教訓になるだろう。
(forbes.com 原文)