欧州

2024.06.11 09:30

ロシア、「内」からもドローンの脅威に直面 パルチザンの攻撃続出

当時、筆者も記事に書いたことだが、ウクライナ保安庁(SBU)は、一連の爆発の原因がクワッドコプターから投下されたテルミット手榴弾、具体的に言えばロシア製のZMG-1焼夷手榴弾だということを突き止めている。これらの攻撃は、小型ドローンが適切な場所を攻撃すれば不釣り合いなほど大きな効果を発揮することを証明した。SBUは、実行犯はウクライナに潜入して活動しているロシアの特殊部隊「スペツナズ」の要員とみていたが、拘束には至らなかった。ほかの手法と異なり、ドローンによる破壊工作は離れた距離から実行できるのだ。

いまから振り返れば、数十億ドル相当の砲弾やミサイル、その他の弾薬を破壊したこれらの攻撃は、ウクライナを弱体化させて、その後の本格戦争を戦う力を削ぐ効果的な方法だったと言える。

米国では造船所撮影で中国人訴追

いまは立場が逆転し、ロシアが各地でドローン攻撃に見舞われる側になっている。数km飛び、壁やフェンスを越えることのできる脅威に対して、国全体のインフラを強化するというのは難題だ。

もっとも、ドローンによる破壊工作は引き続きロシアも行うことができる。ここ最近、リトアニアのビリニュスにあるIKEAの店舗やポーランドのショッピングモールなど、欧州各地で相次いでいる火災は、ロシアの破壊工作の疑いがあるとされている。小さな発火源で大規模な破壊を引き起こす放火は、破壊工作でのドローンの利用法としてすぐに思いつくものだ。ロシアは、ウクライナで行った破壊工作でドローンがどれほど効果的であったかを忘れてはいないだろう。

米国でも先日、空母や原子力潜水艦が建造されているバージニア州のニューポートニューズ造船所を撮影するため上空にドローンを飛ばしたとして、中国籍の男が訴追されている。

小型ドローンは100万機単位で生産されており、世界中で入手可能だ。ロシアで今後起こることは、強い意志をもった少人数のグループが、ドローンによる破壊工作でどれほどの被害をもたらし得るかの教科書的な事例になるかもしれない。そして、それは他国にとっては学ぶべき教訓になるだろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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