クレムリン攻撃で狼煙
パルチザンは昨年5月、モスクワ中心部クレムリンに対する攻撃で狼煙を上げた。航続距離の短い小さなクワッドコプター(回転翼が4つのドローン)を、せいぜい数km離れた場所から飛ばした。モスクワはウクライナから送り出されたとみられるより大型のドローンの攻撃も受けているが、ドローン攻撃をしている組織はロシア国内にもある。クレムリンに対する攻撃が象徴的なものだったのに対して、現在起きている攻撃の波は実害を意図したまったく現実的なものだ。とはいえ、こうしたドローン攻撃をロシアで日々起きている雑多な混乱と区別するのは難しい。ロシア国内の破壊工作活動を追跡しているウクライナのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)機関「モルファー(Molfar)」は筆者に、小型ドローンが使われた事案をとくに区別して収集しているわけではないと説明している。
それでも、状況から現地の組織によるドローン攻撃だったことがうかがえる場合もある。たとえば最近、ロシアの占領下にあるウクライナ南部メリトポリの南20kmほどの地点で、ロシア軍のブーク自走防空システムがFPV(一人称視点)ドローンに撃破されたと報告されている。撃破地点は前線からおよそ100kmも離れており、ウクライナ側から飛ばすFPVドローンではまったく届かない距離だった。
🔥👀 Destroyed Russian Buk-M1
— MAKS 24 🇺🇦👀 (@Maks_NAFO_FELLA) May 29, 2024
The attack was carried out using an FPV drone. The nuance is that "Buk" was destroyed 20 km south of Melitopol and about 100 km from the frontline. pic.twitter.com/KSdhbqlUik
ロシア国内の変電所がFPVドローンで攻撃される様子を映した動画もある。古い変電所はいまだに冷却に可燃性の油を使うため、火がつくと激しく燃え上がり、小さな爆発にも弱い。ロシアは変電所に軽量の網をかぶせるようになっているが、これは180kgの長距離ドローンを止められるようなものではないので、おそらく破壊工作用の小型ドローンが落とす爆弾に対する防護なのだろう。
Anti Drone Nets have appeared over some substations in Russia pic.twitter.com/UNJXwvKT6r
— Tony (@Cyberspec1) May 29, 2024