欧州

2024.06.11 09:30

ロシア、「内」からもドローンの脅威に直面 パルチザンの攻撃続出

Drop of Light / Shutterstock.com

工作員のネットワーク構築

クレムリンに対するドローン攻撃のあと、CNNは米国の情報筋の話として「ウクライナはロシア国内で目標に対する破壊工作を実行する工作員や同調者のネットワークを築き、攻撃用のドローンを提供し始めた」と報じていた。
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それ以降、ロシアのさまざまな反体制派組織が行動を始めた。「占領者によるタタール人の弾圧に対抗するために結成された」というタタール人の「機械の反乱」という組織は、ソフトウェアのダウンロードを含め、ドローンの使用や訓練に関するアドバイスを行っている。

シロクマ」という組織を立ち上げ、ソーシャルメディアでMediciと名乗るパルチザンは筆者に、ロシアに占領されているウクライナの地域のいくつかの組織や、ロシア国内の反プーチン組織が攻撃用の小型ドローンを購入し、飛ばしていると明かした。

ロシアがこの脅威を認識するのは早かったものの、それに対抗するのは簡単ではない。ロシアは国土の広大な範囲にドローンの飛行禁止区域を設定している。現在、趣味でドローンを飛ばせるのはシベリアだけだ。
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ロシアはまた、ドローンの飛行を阻止するため国内の幅広いエリアで衛星測位システムの信号を妨害している。これは多くのコンシューマー向けクワッドコプターに対しては有効かもしれないが、衛星航法システムを搭載しない安価なFPVドローンに対しては役に立たない。

ロシアはドローンの輸入に関しても厳しい規則を設けていて、これはロシアの有志グループがロシア軍のためにドローンを購入する際の障害にもなっている。とはいえ、CNNが伝えているようにドローンの密輸は横行している。そうできるのは国境警備部隊の間で汚職がはびこっているためだ。ロシアの金回りはよくなく、ある情報提供者は「現金が驚くべき力を発揮する」と言っている。

先鞭をつけたのはロシア

ロシアがドローンによる破壊工作に悩まされているというのは皮肉だ。なぜなら、この手法を完成させたと言っても過言ではないのはほかでもなく、ウクライナに潜入したロシアの特殊部隊だったからだ。

ウクライナでは現在の侵攻を受ける前の2015年から2018年にかけて、弾薬庫の大規模な爆発が相次いだ。北東部ハルキウ市の近郊の弾薬庫で起きたものでは、火災と爆発によって数千tの弾薬が破壊され、近隣の住宅からおよそ2万人が避難を強いられる事態になった。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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