ロシアではこのほかにも、石油・ガス施設に対する組織的な攻撃とみられるものが相次いでいる。
起爆装置の投入
1月19日にはロシア西部ブリャンスク州クリンツィにあるロスネフチの大型石油貯蔵施設の貯蔵タンク4個が炎上した。クリンツィはウクライナとの国境に近い町だ。「国防省が電波を妨害して飛行機型のドローン(無人機)を撃墜した。飛行中の標的が破壊されると、積まれていた弾薬がクリンツィの石油貯蔵施設の敷地に落下した」と同州のアレクサンドル・ボゴマズ知事はテレグラムに投稿した。
その2日後の21日には、同じくロシア西部サンクトペテルブルクの西に位置するウスチルガのガス基地で爆発を伴う大規模な火災が発生した。施設運営者は、火災が「外部要因」で引き起こされたと説明している。
親ロシア派のテレグラムチャンネルによると、ロシア軍は火災の発生前、約3kgの爆薬を積んだドローンを撃墜。ドローンは、翼幅約6mのピストンエンジンの航空機だったという。
これらの攻撃は、元米海兵隊員で米国防大学国家戦略研究所の上級研究員である「TX」ことトーマス・ハメスが2016年のドローン戦争に関する論文で「起爆装置の投入」と記した原理に基づいている。小型で安価のドローンは、従来の攻撃機のように多くの爆薬を搭載していないが、うまく照準を合わせれば、弾薬や燃料の備蓄を攻撃することができる。
「このような標的に対しては、100g未満の爆薬を直接投下するだけでも、標的を破壊する二次爆発を誘発することができる」とハメスは書いた。