──今回参加した「BLUE HANDS TOKYO」は、性感染症予防の啓発を目的にしたイベントで「パートナーとのより良いコミュニケーション」がコンセプト。パートナーと良好な関係を築くための秘訣は何だと思いますか。
まずは、お互い言いたいことを言い合うのが第一だと思います。
私とパートナーの場合は、その際理屈で論破し合うようなコミュニケーションはしません。そのやり方だと疲れてしまいますし、そもそも私は気分屋なので途中で韻を踏み出しちゃったりして(笑)。とにかく、そういったスパーリングを1000回くらいやる。でも一回ずつは長引かせない。私たちはそうやって互いを理解し合っていますね。
ちなみに私は「エビバディBO」を出したときに、あえて脇毛を生やしたことがありました。ムダ毛が生えていると「女の子らしくない」と言われるという固定概念に抗うためのパフォーマンスでした。ただ、パートナーには「不潔だからやめて」って言われて。「なんで分かってくれないんだ」と、辛い思いをしました。
その何年後かにやっと、「あっこがこう言っていたことはそういうこと?」「そうそう、わかってるじゃん!」といった感じでわかってもらえました。理解をしてもらうには、長期的にコミュニケーションを重ねることも大切です。あとはそれぞれのカップルや夫婦なりの事情を踏まえた上で、「いかに互いを思いやれるか」ですね。
──現在は新しいアルバムを制作中だそうですね。
9月リリースを目指して制作中です。2018年に出したアルバム「GRRRLISM(ガーリズム)」は私のジェンダーに関する課題意識をコンセプチュアルに表現しているのですが、今回はその流れを汲むもので、言わば集大成的な作品になる予定です。
楽曲を「エンタメ」と「カルチャー」の二軸に大別するとしたら、今回は明確に「カルチャー」寄りのアプローチ。私という人間性、例えば本質的なテーマを突然語り始めちゃうような“謎”な側面などを表現しています。
私は、音楽の可能性はリリック(歌詞)だけではなく、サウンドにもあると思っていて。だからこそ、リリックとサウンド、両方でこれまでの伏線を回収するようなアルバムにしていきたいと思っています。
*「BLUE HANDS TOKYO」は、ネクイノがカラダや性にまつわる様々な“しかたない”に向き合う社会実装プロジェクト「#しかたなくない」とともに4月に実施した音楽フェス。6組のアーティストが参加し、性感染症の予防の大切さや検査の重要性への理解を深め、自分やパートナーとの “安心できる関係” について考えるきっかけを提示した。