リーダーが情報の洪水の中でも的確な判断を可能にする「見識」の磨き方

Getty Images

我々が生きる世界では、まるで絶え間ない土砂降りのように情報が流れ込んでくる。そんな現代を生きるリーダーには、そうした情報の洪水に巻き込まれず、意味のある流れを見いだして進んでいくという課題が突き付けられている。

こうしたデータの大洪水のなかで適切なリーダーシップを発揮するには、ありとあらゆる情報を集めるのではなく、必要な情報を選び、理解し、賢く利用することが求められる。

情報が飽和状態にある時代に道を切り開こうとするリーダーとして、我々のミッションは明確だ。雑音だらけのデータをふるい分けること、生のデータから知識を抽出すること、そして最も重要なのは、見識(Wisdom)を活かすことだ。

見識の基礎

リーダーシップの目標は、単に知識を集めることではない。得られた知識を、意義のある生産的な形で活用することが目標となるはずだ。これはすなわち、リーダーは見識を養う必要があるということだ。

見識とは、適切な根拠のある正しい判断を行うために、自分の知見を活用することだ。目先の状況だけでなく、その先を見越して、自分たちの行動が長期的にどんな影響を持つかについて理解することだ。

見識とは、リーダーシップの奥深い一側面であり、その範囲は、単なる専門知識や技術的なノウハウにとどまらない。内省や倫理的な実践、そして、自身の中核となる価値観やパーパス(目的、存在意義)へのコミットメントが要求される。

パーパスは、リーダーの羅針盤

パーパスは、見識の基礎になるものだ。パーパスはリーダーを導き、自身のビジョンやミッションを実現する成果を達成できるよう助ける。

・価値観は、リーダーのフィルター

誠意や敬意、説明責任といった価値観は、単なる知識を、見識ある倫理的な行動へと変換する。パーパスに関する明確な感覚があれば、リーダーは、知識を賢く活用して、長期的な目標や公共の利益と合致した決断を下すことができる。

見識を得るには

「こうすれば必ず見識を得られる」という、1つの保証された道があるわけではない。見識を育むためには、複数の戦略やステップを検討すると良いだろう。

・内省を通して学ぶ

見識は、過去の経験や成功、そして失敗について熟考することからもたらされる。自分の経験について深く考え、それらを自分のパーパスや価値観のレンズを通して見ることができるリーダーは、深い洞察を得られるはずだ。こうした洞察は、情報や知識を集めるだけでは見えてこないものだ。

・勇気をもって行動する

必要な状況になれば、勇気を奮って大胆な手に出るのも、見識ある者の特徴だ。一方で彼らは、状況が忍耐や、さらに深い検討を要求するときには、行動に出るべきではないことも知っている。

見識の第1の構成要素は「情報」

見識は、検討しようとする情報を、入念に選択することから生まれる。

見識あるリーダーは、単にエピソードや事実などのデータを集めるだけでは足りないことを熟知している。すなわち、入念な取捨選択や、時間をかけた理解のプロセスを怠ると失敗につながることを理解している。

・適切で信頼できる情報を選ぶ

現代を生きるリーダーであれば、執務中のデスクには、分析やリポート、ソーシャルメディアのトレンド、フィードバックループなど、大量のデータがひっきりなしに流れてくるはずだ。

それらの中から、価値ある情報に的を絞ろう。
次ページ > リーダーは、自らの目標にかなうデータを集め、評価する仕組みを持つべき

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事