リーダーシップ

2024.04.04 09:30

リーダーが情報の洪水の中でも的確な判断を可能にする「見識」の磨き方

木村拓哉
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リーダーは、自らのパーパス、価値観、目標にかなうデータを集め、評価する仕組みを持つべきだ。批判的分析、経験、戦略的思考を取り入れることで、正確かつ価値ある情報が得られる最高の情報源を判別できるはずだ。

・情報源の信頼性を評価する

情報源の評判や、これまでの実績もチェックしておこう。提供される情報を支える、専門知識や指針についても確認が必要だ。情報源にバイアスがある可能性を頭に置き、目を光らせよう。そうしたバイアスについて把握しておけば、情報を適切に評価するのに役立つはずだ。

情報源が、トピックをくまなく取り上げているのか、あるいは、表面的な概説を述べているだけなのか、よく見極めよう。突っ込んだ分析は、表面的な洞察よりも役立つケースが多い。同様に、データ生成に関して、より厳密な手法が用いられている場合は、情報の信頼度も上がる。

見識の第2の構成要素は「知識」

見識は、知識の上に築かれるが、その知識とは情報の総合体だ。情報は動的なものであり、実践の場で用いられることによって成長する。見識あるリーダーは、情報や、情報が意味すること、文脈といった全体を理解している。

貯水池が、単に雨粒を集めた以上のものであるように、知識も、単なるデータの集積以上のものだ。知識は、相互に結びついた体系であり、それは、自身を取り巻く世界を理解し適切に解釈するリーダーの能力を反映している。

・分析と体系化

必要な情報を集めることができた、という確証が得られたら、次のステップは、その情報を分析することだ。

パターンや相関性、洞察を導き出せないか、じっくり見てみよう。そして、さまざまな情報を突き合わせ、課題に関する包括的な理解を得るための体系化を試みよう。

・文脈を考える

見識は、文脈のなかにある知識から生まれる。自らの経験や直感を活用して、得られたデータを、所属する組織の環境や業界の動向、さらには、より広い社会の問題に照らし合わせて解釈しよう。このような文脈を考慮した知識で武装すれば、その活用法に関しても、見識ある判断ができる体制が整うはずだ。

・内省し、問いかける

見識は、自身が身につけた知識の強みと限界について深く考察するところから生まれる。自分の思考の背後にある先入観を見極めよう。「自分と異なる視点を持つ人だったら、この知識をどう解釈するだろうか」と考えてみよう。オープンな精神を持つことが肝心だ。

見識を得る道のりは、リーダーがたった1人で歩むものではない。これは、チームや利害関係者、コミュニティを巻き込んだ共同作業だ。見識を得るには、コミュニケーションや共感、そして、人の話に耳を傾け、耳の痛い話も受け入れる能力が欠かせない。

洞察力を備えたリーダーは、自分がすべての答えを知っているわけではないこと、そして、見識はたいてい、個人よりもグループから生まれることを理解している。

情報があふれる今の時代には、データの海を乗りこなす能力が不可欠だ。だが、そうしたデータから見識を導き出す能力こそが、真のリーダーと、そうでない者を分けるものだ。

それはすなわち、雑音の中から確かなシグナルを聞き取り、カオスの中からパターンを読み取り、経験から教訓を得る力だ。

そうした見識を持つリーダーは、常に変化を続け、先が見えない現代社会のなかで、組織を巧みに導いていくことができるだろう。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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