健康

2024.03.27

英国で「がん」検索が急増 キャサリン妃の公表で関心高まる

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ウィリアム英皇太子の妻キャサリン妃ががんの診断を公表したことを受けて、英国ではがんへの関心が高まっている。公的医療機関が運営するウェブサイトでは、がん情報ページへのアクセスがほぼ5倍に増えた。

キャサリン妃は22日に公開した動画で、がんと診断されて化学療法を受けていることを明らかにした。動画はSNSの公式ページに投稿され、テレビでも放映された。

それから3時間で、英国民保健サービス(NHS)イングランドのウェブサイトの「がんの症状」を説明するページには、4172回のアクセスがあった。この数は前週の同時間帯の2倍以上で、およそ3秒に1回アクセスがあったことになる。うち約1700回は、キャサリン妃の発表から1時間以内のアクセスだった。発表後24時間のアクセス数は2840回で、 前週同時期の4.73倍だった。

これらのアクセス回数は比較的少ないように見えるかもしれないが、全国的にみてもがんへの関心は急上昇した。英国のグーグル検索では、キャサリン妃の公表直後からがんに関する検索が16倍以上に増えた。

NHSのウェブサイトはさまざまな病気についての情報を掲載しており、英国では信頼できる健康情報源としてよく使われている。

若い女性は「がんで多くを失う可能性」

専門家らは、キャサリン妃の診断が、がんやがんの症状への関心を高めることを期待している。

NHSイングランドのがん担当ナショナル・クリニカル・ディレクター、ピーター・ジョンソン教授は、キャサリン妃が公表したおかげで「がんの兆候や症状について紹介しているウェブサイトにある重要な情報を閲覧する人が急増した」と指摘。「がんが話題にのぼることで人々が異変を感じた時にすぐに行動に移すようになれば、命が救われることは間違いない」と述べた。

英レディング大学のナザニン・デラクシャン教授(実験精神病理学)は、がんが若い女性に及ぼす影響についての理解にもっと焦点を当てるべきとの見方を示している。英サイエンス・メディア・センターがキャサリン妃の公表に関する専門家のコメントをまとめたページで、デラクシャンは「がんが若い女性に及ぼす影響は見た目以上だ」と指摘。「若い女性はフルタイムの仕事に就いていたり、幼い子どもがいたりすることが多い。また、家族を1人で養っていたり、あるいは家庭を持ちたいと思っていたりもする。がんはこれらのすべてに悪影響を及ぼし得る」と述べた。

人生の最盛期にある若い女性は、がんによって失うものが多いかもしれないとデラクシャンは説明。だが「がんが若い女性に及ぼす心理的、社会的影響を研究する体系立った試みはこれまでになく、取り組む必要がある」という。
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翻訳=溝口慈子

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