フロイディンクによれば、ウクライナ側によるこうした「共食い」修理のために、ポーランドやリトアニアの整備工場では、戦場で傷んだ箇所を直すだけでなく、剥ぎ取られた部品の補充もしなくてはいけなくなっている。そのため、作業は戦車を修理するというより「作り直す」のに近くなっているという。こうして、もともと遅い修理プロセスが輪をかけて遅くなっている。
とはいえ、ウクライナ向けレオパルト2の整備や修理が遅れている根本的な原因は、やはり部品不足だ。ロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから25カ月たつなか、ウクライナ軍の大半の旅団がいまだに、以前から保有していたソ連式戦車に乗り続けているのもそのためだ。
これらの戦車とくにT-64戦車は、ウクライナ北東部ハルキウのマリシェウ(マリシェフ)工場で製造された。ハルキウは前線から40kmほどしか離れていないので、ウクライナ政府は国内の戦車産業の大半を西部のジトーミルやリビウに疎開させているようだ。加えて、チェコのエクスカリバー・アーミー社やポーランドのPGZ社の工場も活用している。
エクスカリバーやPGZはT-64やT-72戦車など、ウクライナ軍に配備されているソ連式戦車のオーバーホールや修理を手がけている。納期は、サンタ・バルバラ・システマスやラインメタルによるレオパルト2のオーバーホールや修理よりも数カ月早い。
スペインからはいずれ、追加のレオパルト2がウクライナに届くことになるだろう。しかし、ウクライナ軍の戦車部隊はレオパルト2をそれほど当てにできそうにない。
(forbes.com 原文)