スペインの防衛ニュースサイト「インフォデフェンサ」が20日に報じたところによると、防衛装備の取引を管理するスペイン政府の委員会は、スペイン軍で使用されていたレオパルト2A4のうち、20両をウクライナに移転することを承認済みとのことだ。
報道どおりなら、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)の支援国から取得するレオパルト2A4は合計で74両に増える。うち40両はすでにウクライナ軍の第33独立機械化旅団に配備されている。第33旅団はウクライナ南部で1年近くにわたり、交代せずに戦闘を続けている。
オランダのOSINT(オープンソース・インテリジェンス)分析サイト「Oryx(オリックス)」の集計によれば、同旅団の55t、4人乗りのレオパルト2A4はこれまでに少なくとも8両が撃破され、ほか9両が損傷したり、少なくとも一時的に遺棄されたりしている。
スペインの動きに先立ち、ドイツとオランダはウクライナ向けにレオパルト2A4を新たに14両準備していた。これらとスペインからの20両を得られれば、第33旅団は戦車大隊の戦力を完全に回復でき、さらに余りが出る。もしかすると、ゆくゆくは2個目の戦車大隊の編成も可能かもしれない。
観測筋の間では、スペインは遅ればせながらもウクライナに追加でレオパルト2A4を供与するとみられていた。NATO諸国は1980年代にさかのぼるこの古い戦車について、2022年末からウクライナへの供与を表明し始めたが、スペインが当初提供したのはわずか10両にとどまっていた。スペインのレオパルト2A4の在庫量からすると驚くほど少ない数だ。
スペイン軍は2022年時点で、少なくとも書類上の数字では戦車を327両保有していた。1998年にドイツの余剰分から取得した108両のレオパルト2A4と、2002年以降、スペインのサンタ・バルバラ・システマス社によってライセンス生産された219両のレオパルト2Eである。