欧州

2024.03.21 11:00

フィンランドがウクライナに舟艇供与、ドローンに狙われる渡河部隊を支援

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渡河を敢行するウクライナ軍部隊はロシア軍のドローン(無人機)攻撃から身を守ろうと必死だ。この渡河作戦を支援する国々に最近加わったのがフィンランドだ。

ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は同国議会に宛てた最近の書簡で、フィンランドによるウクライナへのボートの供与を明らかにした。書簡ではルーマニア領を通ってのボート移送の支援策を協議している。

フィンランドが供与するボートの数や種類については明らかになっていない。だが、ウクライナ軍がこれらのボートで何をするつもりなのかは明白だ。ドニプロ川左岸(東岸)のクリンキ集落に物資を運ぶ補給線の強化だ。クリンキでは昨年10月以来、ウクライナの海兵らが狭い橋頭堡(きょうとうほ)を守っている。

フィンランド海軍は上陸用舟艇を多数保有している。排水量32トンのJehu型を12隻、排水量14トンのユルモ型を38隻(別途17隻を建造中)、排水量10トンのウイスコ型を20隻ほどだ。これらの舟艇はフィンランドの長い海岸線のあちこちへ部隊を輸送し、補給する。

ウイスコ型はウクライナへの供与で最有力候補だ。新しいJehu型とユルモ型の投入にともない、数十年前に建造されたウイスコ型はフィンランドで退役しつつある。

だが、ウイスコ型はウクライナにとって最も役に立たないものでもある。小火器による銃撃からの防御のためにケブラーの内張りが施されているが、装甲は船体側面のみだ。密閉された兵員搭載スペースを持つJehu型とユルモ型とは異なり、旧式のウイスコ型は上部が開いている。そのため、爆発物を搭載した小型ドローンによる攻撃に弱い。

対岸のクリンキに海兵を輸送し、物資運搬用の無人艇とともにクリンキの守備隊に補給する渡河部隊にとって、ドローンは最大の脅威かもしれない。半年にわたる激戦で、ロシア軍のドローンは何十隻ものウクライナ軍の舟艇を攻撃し、乗員や兵士の多くが犠牲になった。

ウクライナ側の最大のドローン対策はドニプロ川の右岸(西岸)に設置した電波妨害装置だ。だが、装甲も有用だろう。ウクライナが同盟国から装甲が施された舟艇であればなんでも調達しようと必死なのには理由がある。

スウェーデンがこのほど発表した6億8000万ドル(約1030億円)のウクライナ支援パッケージには、CB90高速攻撃艇10隻を含む、30隻もの河川艇が含まれていた。米海軍退役将校のピート・パガーノは米海軍協会誌「プロシーディングス」への寄稿で、10隻のCB90で形成する小艇隊は「艇と部隊のある程度の生存性」を確保しつつ、海兵200人を上陸させることができると解説している。

Jehu型とユルモ型はCB90に類似しているが、上部が開いているウイスコ型は異なる。フィンランド海軍が使っていたウイスコ型がウクライナ軍の渡河部隊に歓迎されないというわけではない。ただ、同軍が現在使用している船体が堅固な空気注入式ボートより大幅に優れているわけではない。これらのボートはクリンキへの短いながらも危険な移動で大きなダメージを受けている。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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