欧州

2024.02.22

ウクライナに干天の慈雨、スウェーデンが砲弾や攻撃艇含む新たな軍事援助

CB90高速攻撃艇。スウェーデンのイエーテボリ沖で(Shutterstock.com)

米議会のロシア寄りの共和党議員が米国の対ウクライナ支援を妨害し続けるなか、欧州諸国はその穴を埋める取り組みを急いでいる。

なかでも最も注目されるのはスウェーデンかもしれない。軍事面で「非同盟」を貫いてきたスウェーデンは、2022年2月にロシアがウクライナに全面侵攻した数カ月後、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請した。現在は加盟国で承認を保留している最後の国となっているハンガリーの採決を待っている段階だ。

欧州の安全保障体制では周縁に位置づけられる国であるにもかかわらず、スウェーデンはこれまでウクライナを強力に支援してきた。このほど発表された最新の援助パッケージは6億8000万ドル(約1020億円)相当と、スウェーデンのよるものでは過去最大規模だ。これには砲弾や対戦車ミサイル、対空ミサイル、そしてなんと30隻のボートも含まれる。

ボート30隻のうち10隻は、河川などで使用されるCB90高速攻撃艇だ。全長15.9m、乗員3人のCB90は厚い装甲や重兵器を備え、兵員21人を収容できる。最高速度は40ノット(時速約74km)に達し、最長で440km航続可能だ。

スウェーデンの防衛大手サーブが手がけるCB90をスウェーデン海軍はおよそ140隻運用しており、追加発注もしている。ノルウェー海軍にはCB90の小艇隊が1個置かれている。米海軍も近代的な河川部隊のためにCB90を2隻購入したが、この部隊は数年前に短期間で解散している。

2016年にペルシャ湾のイラン領海に迷い込んだ米海軍の哨戒艇は実はこの2隻だった。今では忘れられているが、イラン当局による2隻の拿捕は当時、米国とイラン間の外交危機に発展した。



米海軍退役将校のピート・パガーノは米海軍協会の雑誌「プロシーディングス」への寄稿で、上部に搭載した遠隔操作の機関銃で援護射撃を加え、前面装甲で敵からの小火器による攻撃を防ぐCB90は、「艇と部隊のある程度の生存性」を確保しつつ、10隻の小艇隊で中隊規模の海兵隊部隊を上陸させることができると解説している。

「生存性」はウクライナ軍の傷んだ河川艇団が今まさに必要としているものだ。当初、民間のボートで編成されていたこの小艇団はその後徐々に、支援国から供与された軍用ボートを配備されるようになった。

だが、ウクライナ海兵隊が南部ヘルソン州のドニプロ川左岸(東岸)に築いた狭い橋頭堡に補給するボートは、これまでに何十隻と失われている。一帯のドニプロ川の川幅は数kmほどだが、ウクライナ側が数百隻投入している可能性があるボートはロシア側の大砲や爆弾、爆薬搭載ドローン(無人機)に昼夜を問わず苦しめられている。

ロシア側のドローンを混乱させるためのジャミング(電波妨害)装置が設置されたあとも、ウクライナ側のボートの乗員は予定どおりに任務を完了するのに苦慮してきた。対岸の海兵隊員たちは孤立し、空爆や砲撃にさらされている。ある海兵隊員は「左岸は煉獄のようだった」とニューヨーク・タイムズ紙に証言している。

機銃や装甲を備えたCB90はロシア側のドローンに対して、これまで使われてきた簡素なボートよりは有利になるはずだ。クリンキへの補給用に海兵隊に配備されれば、海兵隊にとって朗報になるに違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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