全世界で10億人以上が「肥満」、過去30年間で急増

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1990年から2022年の間に、肥満の割合が著しく上昇した一方で、低体重の割り合いはほとんどの国で減少したことが最新の研究で明らかになった。研究者たちは、低体重の問題に取り組みながらも肥満の割合を下げるために、より栄養価の高い食品を摂取することが重要だと考えている。

2月29日にLancetに掲載された研究によると、世界の成人女性の肥満の割合は1990〜2022年の間に2倍以上に増え、成人男性では3倍に増えたことがわかった。子どもでは1990年と比べて2022年は4倍も高かった。

成人女性の肥満の割合が最も高いのはトンガおよび米国領サモアで、成人男性の肥満の割合が最も高いのはナウルおよび米国領サモアで、それぞれの人口の60%を占めている。子どもの肥満の割合が最も高かったのはニウエおよびクック諸島で、その30%が肥満だった。

米国女性における肥満の割合は1990年の21.2%から2022年の43.8%へと2倍以上に増え、米国男性の肥満の割合は1990年の16.9%が2022年には41.6%へと急増した。米国女性の肥満の割合は世界第36位、男性は第10位だった。

英国は女性の肥満の割合は87位、男性は55位。中国は女性の肥満の割合は低い方から11番目である190位、男性は52番目の142位だった。

米国における子どもの肥満の割合は、女子が11.6%から19.4%(世界第22位)に、男子は11.5%から21.7%に増えて世界第26位だった。

英国の子どもの肥満の割合は女児が第72位、男児が91位で、中国は女児が99番目に低く(第102位)、男児は第70位だった。

肥満と低体重はいずれも栄養不良の状態であると世界保健機関(WHO)はいう。気候変動、新型コロナウイルスによるパンデミック、さらにはウクライナにおける戦争が「貧困を悪化させ、栄養価の高い食物の価格を引き上げた」ことで栄養不良が増える原因となっている可能性があると論文の共著者で、マドラス糖尿病研究財団のグハ・プラディーパが声明で語った。肥満の割合の上昇に取り組みながら残された低体重を減らすためには、栄養価の高い食物の入手を容易にする必要があると研究チームはいう。
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翻訳=高橋信夫

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