しかも、その公約のいずれも、戦争関連の排出やウクライナの環境破壊を考慮に入れていない。ジャベリンによれば、ロシアの軍事活動による排出量は二酸化炭素(CO2)換算で数億トンに上るとみられる。ロシアはウクライナに死と破壊を振りまいたが、生態系への損害も大きい。化学物質や有害廃棄物が空気中や水源に浸透している。
ウクライナの環境保護・天然資源省によると、ロシアの侵攻に責任のある自然・環境に対する犯罪は3700件を超える。火災や軍事作戦によって1億5000万トンのCO2が排出され、そのコストは615億ドル(9兆2500億円)に上る。
米イェール大学は、ロシアでの事業活動を縮小した企業と、ロシアに留まっている企業を追跡調査している。エネルギー分野で撤退ないし事業縮小を選んだ企業には、米シュルンベルジェ、仏トタル、英シェルがある。一方、三菱重工や仏ヴェオリアはロシアに残っている。
「ロシアはもはや西側諸国がどう思おうと気にしていない」とウェングルは断言した。「かつては同じテーブルに座り、会合に参加したがっていた。だが、先進諸国はロシアを仲間内から追い出した。今は西側諸国との対決がすべてだ。ロシアにとって戦争こそが最も重要なのだ」
国際社会はおおむね、化石燃料からの脱却を各国に求めるパリ協定の遵守を志向している。そのため先見の明のある国々は持続可能なエネルギーに投資し、そうした政策が最先端企業を引きつけている。悲しいことに、ロシアの高齢化した指導者たちは進化できておらず、政治的にも経済的にも国民に損害を与えている。
(forbes.com 原文)