このところほぼ1カ月に1隻のペースで艦艇を失っている黒海艦隊は、運用するほとんどの艦艇を、最も攻撃に弱いクリミアの港はおろか、ロシア南部ノボロシスクからすら引き揚げざるを得なくなっている。
ウクライナの水上ドローンがイワノベツを仕留めることができたのは、それほど驚くべきことではない。驚くべきは、黒海艦隊の司令部が、ウクライナ側が支配していると知っているはずの水域で、イワノベツを航行させても安全だと判断したことだ。
ウクライナ軍は黒海艦隊の5分の1を破壊し、残りも東に駆逐したことで、黒海西部と、そこを南北に貫く極めて重要な穀物回廊を支配するようになった。
これはウクライナにとって海軍の勝利であると同時に、経済的な勝利でもある。ここ数週間、ウクライナの穀物輸出は戦争拡大前の水準に回復している。この輸出によってウクライナの農家が今年得ると見込まれるおよそ60億ドル(約8900億円)の収入は、ウクライナの戦争努力を支えるものにもなるだろう。
黒海艦隊がこの海戦に破れつつあることは、ロシアの崇拝者を除けばもはや誰の目にも明らかだ。もっとも、その敗戦は長く続く過程にもなるだろう。黒海艦隊には、失える艦艇があと数十隻残っているからだ。
黒海艦隊はいずれこれらの艦艇も失うに違いない。ウクライナ海軍は、最も強力な対艦兵器になるであろう新型の水中ドローン(無人潜水艇)をまだ配備していない。この新兵器が近づいてきたとき、ロシアの水兵たちは機銃射撃すらできないだろう。
(forbes.com 原文)