だが、特筆すべき点として、過去の例に反してウクライナ軍はロシア軍にほぼ同等の損失を与えた。開けた土地で敵の陣地を攻撃する場合、攻撃側は防衛側の数倍の損失を被ると歴史家は考えている。
ウクライナ軍が昨年夏に被ったのと同じだけの損失をロシア軍に与えたことは注目に値する。驚きという点では劣るが、同じように注目すべきは、ウクライナ軍の旅団が攻撃を中止し、人員補充のあったロシア軍の連隊に勢いが流れた昨年秋から起こったことだ。
ロシア軍は冬の攻勢でウクライナ軍の3倍近い重装備を失い、おそらく少なくとも3倍の兵士を失っている。そしてこれまでのところロシア軍は、過去の例にならうように攻撃側は典型的な大きな損失を出し、引き換えに少ない陣地を得ている。もっと少ない損失でウクライナ軍が昨年夏に獲得した陣地を下回る。
数字は嘘をつかない。東部アウジーイウカと南部クリンキの周辺で繰り広げられている主に陣地戦の戦闘では、ロシアの野戦軍は月に500両を超える戦車や戦闘車両、りゅう弾砲、トラックを失っている。ウクライナ軍側の損失はというと200両以下だ。
車両損失の証拠を得るためにソーシャルメディアをチェックしている独立系オープンソースインテリジェンス(OSINT)サイト「オリックス」のアナリストによると、ロシア軍は昨年12月25日から1月25日までの間に562両の車両を失ったという。一方、ウクライナ側の損失は196両で、3対1の比率でウクライナの方が損失は少ない。