今月、それにも失敗すると、ロシア軍は再びアウジーイウカに対する直接攻撃に乗り出した。同時に、ウクライナ側の重要な防御拠点をすり抜けて遮断するために、南側から市に侵入することも図った。「ゼニト」と呼ばれるこの拠点は、冷戦時代の掩体壕をウクライナ軍が要塞化したものである。
この侵入もまた失敗に終わった。ロシア軍の少人数の歩兵グループが下水道から汚物まみれの姿で現れたところ、ウクライナ軍のドローン(無人機)によって瞬時に仕留められた。アウジーイウカのツァルスカ・オホタ地区を狙ったこの「下水道作戦」で、ロシア軍は幾度となく繰り返してきた失態を上塗りした。
Khorne Group FPV: explaining efforts of Russians in the Tsarska Okhota section of the Avdiivka battle, the sewers they need to navigate, and what happens next.https://t.co/G8PNNZ9MHG pic.twitter.com/5CLJSSDRa3
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) January 28, 2024
それに対して、ウクライナ軍の総勢2万人規模の守備隊(北面の第47独立機械化旅団と第116独立機械化旅団、市内の第110独立機械化旅団、これらの旅団を支援する第1戦車旅団などで構成)の人的損失ははるかに少ない。戦車や歩兵戦闘車の損失と兵力の損失が比例するとすれば、ロシア側はウクライナ兵1人を損耗させるごとに兵士13人を損耗していることになる。
しかもロシア側はこれほど大量の血を流しながら、アウジーイウカ周辺でたいして前進できていない。ロシア軍は南側から市に向けてわずかに前進しているほか、市のかなり北を走る道路沿いで西方に向かっている。
先週はロシア軍部隊がゼニトの脇を突き切り、ゼニトとアウジーイウカ市内を結ぶ道路が遮断されかねない事態になったことから、ウクライナウォッチャーの中には一時動揺した人もいた。だが、ロシア軍部隊の進撃はのちに地雷によって勢いをそがれ、いつものように野戦砲、爆発物を搭載したドローン、25mm機関砲が火を吹くM2ブラッドレー歩兵戦闘車の連携した攻撃で撃退されたため、緊張感は和らいだ。