また、西側の軍隊では、航空作戦や防空作戦は空戦に特化した指揮センターから指揮される。対照的に、ロシア軍では航空・防空部隊は地上軍に従属しおり、この地上軍もやはり遠方の司令部から命令を受ける。
A-50とIl-22Mも、ロシア軍では主に中継プラットフォームとして機能している。つまり、前線の部隊から生の情報や無線通信を受信し、遠方の司令部に送信し、さらに司令部からの指示を前線の部隊に送信している。
だが、指揮系統が長くなると、こうした「データのやり取りの速度は著しく遅くなる」と英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の2022年の研究でジャスティン・ブロンク、ニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは指摘している。
ロシア軍の集権的で遠隔からの戦場指揮はただでさえ効率が悪いが、空中での中継を失えばさらに効率が悪くなる。
だからこそ、ウクライナ軍はその破壊に優先的に取り組んだのだ。ウクライナ軍はA-50とIl-22Mを撃墜ないし破壊することで、ロシア軍が情報収集やその情報の司令部への送信、その情報に基づく命令の前線への送信で頼りにしている航空機の1割を失わせた。
(forbes.com 原文)