欧州

2024.01.16 17:30

ロシア軍の指揮系統に大打撃 ウクライナ軍、早期警戒機など2機破壊

北大西洋条約機構(NATO)式の軍隊は、戦場の指揮を前線に近い師団や旅団に委ねる傾向にある。ウクライナ軍もそれに倣うようになっている。対してロシア軍のような旧ソ連式の軍隊は、諸兵科連合軍や軍管区などの司令部が上意下達で部隊を指揮することが依然として多く、これらの司令部は前線から何百kmも離れている場合もある。

また、西側の軍隊では、航空作戦や防空作戦は空戦に特化した指揮センターから指揮される。対照的に、ロシア軍では航空・防空部隊は地上軍に従属しおり、この地上軍もやはり遠方の司令部から命令を受ける。

A-50とIl-22Mも、ロシア軍では主に中継プラットフォームとして機能している。つまり、前線の部隊から生の情報や無線通信を受信し、遠方の司令部に送信し、さらに司令部からの指示を前線の部隊に送信している。

だが、指揮系統が長くなると、こうした「データのやり取りの速度は著しく遅くなる」と英王立防衛安全保障研究所(RUSI)の2022年の研究でジャスティン・ブロンク、ニック・レイノルズ、ジャック・ワトリングは指摘している。

ロシア軍の集権的で遠隔からの戦場指揮はただでさえ効率が悪いが、空中での中継を失えばさらに効率が悪くなる。

だからこそ、ウクライナ軍はその破壊に優先的に取り組んだのだ。ウクライナ軍はA-50とIl-22Mを撃墜ないし破壊することで、ロシア軍が情報収集やその情報の司令部への送信、その情報に基づく命令の前線への送信で頼りにしている航空機の1割を失わせた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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