だが、乗員に相当な技量があり、少しばかりの運も手伝えば、30t、11人乗りで砲塔に25mm機関砲とTOW対戦車ミサイル、側面に爆発反応装甲を備えたM2は、ロシア軍最高の戦車に対して互角以上の戦いができる。
これは誇張ではない。ウクライナ北東部アウジーイウカ近郊で最近あった小競り合いで、米国からおよそ200両供与されたM2を運用するウクライナ軍唯一の部隊である第47独立機械化旅団のM2は、2両でタッグを組み、ロシア軍のT-90戦車と交戦した。そしてそれを撃破したのだ。
Bradley IFV of the 47th Brigade of Ukraine engages in a battle with Russian T-90M, Avdiivka front. (Bradley is in foreground while T-90M is in the middle of the village). At the end of the video it’s visible that tank most likely received significant damage as the crew cannot…… pic.twitter.com/uutTexfXf5
— Special Kherson Cat 🐈🇺🇦 (@bayraktar_1love) January 12, 2024
この短時間の激しい戦闘は、ウクライナ軍のドローン(無人機)によって撮影されていた。アウジーイウカ周辺ではこの3カ月、4万人の大兵力を投入して攻略をめざすロシア軍と、1万人規模のウクライナ軍守備隊の間で、こうした激戦が何百回と交わされている。
12日にオンラインで共有された映像では、2両のM2が1両のT-90と交戦する。理論上は、M2はたとえ2両がかりでも、51t、3人乗りで125mm滑空砲や数百mmの厚さの複合装甲を備えたT-90と互角に戦えるとは考えられない。
だが、第47旅団のM2の乗員たちは7カ月にわたって戦闘を続ける(その過程でM2を少なくとも31両失った)なかで、いまやM2の世界一の使い手になったのかもしれない。その腕前はもはや本家・米陸軍の乗員すらしのぐかもしれない。
この戦闘では、まずT-90が射撃するが外している。その後はM2コンビが機動でも射撃でも圧倒する。1両目がT-90に機関砲で25mm弾を浴びせ、駆け抜けていく。次に2両目が反対側から疾走してきて、1両目が去った場所あたりまで行き、至近距離からT-90に25mm弾を注ぐ。
M2の機関砲は毎分200発のペース、毎秒1100mの初速で0.45kg弾を発射する。高精度の光学照準器と正確な射撃統制装置と組み合わされたこの機関砲は、残酷なまでに効果的だ。