ウクライナ空軍はA-50とIl-22が破壊されたと明らかにし「誰の仕業?」ととぼけてみせた。答えは、ウクライナ空軍の射程140km強のパトリオットPAC-2地対空ミサイルシステムではないかと思われる。
ジェット機のA-50は、炎に包まれながらアゾフ海に墜落した。搭乗員は全員死亡したとみられる。高位の将校や高度な訓練を積んだレーダー専門家を含む15人が乗っていた可能性もある。ロシア空軍で就役中のA-50はわずか9機で、そのうちの貴重な1機が失われた。
プロペラ機のIl-22は、アゾフ海の入り口付近にあるロシア南部クラスノダール地方の都市アナパにどうにか着陸した。被弾して穴だらけになった機体で必死に基地に戻ろうとするなか、搭乗員は「救急車と消防隊員を至急要請する」と管制官に無線で連絡している。
着陸後に撮影された写真を見ると、Il-22は垂直尾翼と胴体がずたずたになっており、相当大きな損傷を受けたもようだ。全損になるかもしれない。写真から、この機体の型式がIl-22M11だということも判明した。
旧ソ連で1950年代に開発されたイリューシンのこのモデルは希少だ。ロシア空軍が保有するIl-22Mは、昨年6月、ロシア西部で反乱を起こした傭兵組織ワグネルによって1機を撃墜され、残り12機になっていたとみられる。
古いイリューシンの機体を改造して代わりのIl-22Mをつくることは可能かもしれないが、おそらくすぐには不可能だろうし、安くもないだろう。Il-22MやA-50のコストは1機数億ドルかかるかもしれない。
ウクライナ軍がロシア軍の特殊機の数を削っていることは非常に重要である。ロシアがウクライナで拡大して23カ月目になる戦争で、これらの航空機は作戦支援の面で重要な役割を果たしているからだ。それは西側の観察者が普通思うような役割だけではない。