欧州

2024.01.14 15:00

自走砲の「砲身」が足りないロシア軍、古いけん引砲から取り外して再利用

オープンソースのアナリスト、リチャード・ヴェレカーによると、ロシアは冷戦時代のけん引式のりゅう弾砲を長期保管庫から数千門引っ張り出しているという。だが、ウクライナに侵攻した2022年2月以降にロシア軍が失った約1100の大砲を補うために、古いがさほど使用されていないそうした砲を必ずしも前線に送っているわけではない。

そうではなく、技術者たちは代わりに古いけん引砲の砲身を外し、最も重要な自走砲の消耗した砲身と交換しているようだ。

ヴェレカーは、ロシア軍のけん引砲の損失が急減していることに注目し、けん引砲は「(自走砲よりも)先に保管庫から引っ張り出されるが、これは砲身を取り外して自走砲に取り付けるためではないか」との結論に達した。

ヴェレカーの主張が正しく、ロシア軍が自走砲を稼働させるためにけん引砲を解体しているとすれば、自由なウクライナを支持する者が気になるのは、ロシアにどれだけの古い砲が残っているのか、つまり砲身を新たに生産しなくても、どれだけ予備の砲身を用意できるのかという点だ。

この疑問は、砲身がロシア軍の大砲供給のボトルネックになっているのか、そして砲身不足がロシア軍の火力を制限する可能性はあるのかという問いにもつながる。

たとえそうした事態になるとしても、今年ではないだろう。ヴェレカーによると、ロシアは2021年に1万2300門の古いけん引砲を保有していた。2年近い戦闘を経て、保管されているけん引砲は7500門に減った。4800門もの古いけん引砲から砲身を取り外したことになる。

回収された砲身とロシアの産業界が生産した砲身の合計数は、2000門のりゅう弾砲を2年間稼働させるのに十分なものだった。倉庫にまだ残っている7500門の古いけん引砲のほとんどが完全に消耗していないと仮定すると、これらの砲の砲身に取り替えることで前線のりゅう弾砲をさらに2年間稼働させ続けることができる。

もしそうなら、ロシア軍の兵器供給は2026年に危機に陥る。偶然にも、それは同軍が歩兵戦闘車と戦車を使い果たす可能性のある年でもある。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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