連隊の人間以外、誰も確かなことはわからない。緑色のロシア軍の軍服を着たダミーを載せたBMPは、1年10カ月に及ぶロシアとウクライナの戦争における奇妙な謎の一つだ。
What we believe to be Russians placing fake bodies on a destroyed vehicle. Unclear why. Donetsk direction. pic.twitter.com/VoJIri5UKT
— WarTranslated (Dmitri) (@wartranslated) December 21, 2023
約1000kmに及ぶ前線の至る所で常時飛行し、てき弾を投下したり、爆発物を搭載して体当たりしてきたりするウクライナ軍の1人称視点(FPV)ドローン(無人機)の注意を引くことを期待したのかもしれない。
この戦争では、敵の大砲やミサイルを引きつけるために、両軍ともデコイの車両や航空機を用いている。ドローンの注意を引くためにデコイの兵士を展開してもおかしくない。
いずれにせよ、ダミー兵士を運んだ少なくとも2両のBMPが破壊された。このダミー兵士については、臆測が飛び交った。
発見したウクライナ軍の第81旅団も困惑を隠せなかったが、最終的には安全策を取り、BMPをダミー兵士もろとも爆破した。
⚡️🇺🇦Ukrainian soldiers from the 81st brigade destroy abandoned 🇷🇺Russian BMP-3 with the help of grenades dropped from a drone pic.twitter.com/nDhgMKEc6c
— 🇺🇦Ukrainian Front (@front_ukrainian) December 23, 2023
爆破にはてき弾を投下するドローンを用いた。もしダミーが本当にドローンの注意を引くためのものだったのなら、ほぼロシア軍の思惑通りに事が運んだことになる。
だが、それにかかったコストを計算する意味はある。ドローンのてき弾1個の価格はたったの数ドル。約450gの爆薬を搭載した重さ約900gのFPVを使った攻撃なら、500ドル(約7万円)かかるかもしれない。
ダミーはアマゾンで1体50ドル(約7000円)で販売されている。ウクライナ軍はそれを10体ほどと、数百万ドル(数億円)のBMPを2両爆破した。各BMPの乗員3人が生き延びたかどうかは不明だ。
ロシア軍といえども、ウクライナ軍にせいぜい数千ドルのドローン数機を無駄使いさせるために、生身の兵士6人を危険にさらしてダミー兵士を運ばせたりはしない──そう願いたい。
(forbes.com 原文)