欧州

2023.12.03 12:30

ロシア軍、貴重なウクライナ攻撃機を破壊…と思いきや実はダミー

ウクライナ空軍のスホーイSu-25攻撃機(Shuravi07 / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍のスホーイSu-25攻撃機(Shuravi07 / Shutterstock.com)

ウクライナ空軍はようやく教訓を得たようだ。2カ月ほど前にウクライナ南部の飛行場へのロシア軍の連続ドローン攻撃で貴重な戦闘機と攻撃機を1機ずつ失ったが、その後、 攻撃に弱い空軍基地にある本物の航空機を少なくとも1つの偽物とすり替えた。

11月30日にネット上に出回った映像には、ロシア軍のランセット自爆ドローン(無人機)が、ウクライナ空軍のスホーイSu-25攻撃機らしきものを攻撃する様子が映っている。

だが映像をよく見てみると、電子光学誘導のランセットが撮影した映像の最後の部分からは、Su-25の翼が胴体にある吸気口とうまく合体していないことがわかる。どうやらランセットが爆破したのはデコイだったようだ。

膨張式や木製の模型、解体された廃車など、ロシアがウクライナに対して仕掛けた戦争では両軍ともあちこちでデコイを使用している。ウクライナ空軍が中部ドニプロペトロウシク州クリビーリフ近郊のドウヒンツェベ空軍基地にデコイを設置したことは、同基地が攻撃を受けやすくなったことを同空軍がようやく理解したことを示している。

ドウヒンツェベ空軍基地は前線からわずか約72kmの距離にある。ロシアが侵攻してからの1年半は、それだけ離れていれば十分だった。

ロシア軍の戦闘機が果敢に前線を越えて飛ぶことはほとんどない。探知が容易な重爆撃機から発射される巡航ミサイルは飛行速度が遅いため、ウクライナ軍の部隊は前線からわずか約80kmの地点で作戦を展開している部隊でさえ通常、発射をだいぶ前に知ることができる。

対照的に、重量11kgのプロペラで飛ぶランセットは消耗品で、探知が難しい。今秋までドウヒンツェベ空軍基地が攻撃を受けずにいられたのは、ランセットの基本モデルであるイズデリエ51の航続距離が約40kmと短いことが幸いしていた。

その後、ロシアは新型のイズデリエ53を導入した。航続距離が伸びたモデルで、約72km飛行できる。ロシアの通信社スプートニクは、プロダクト53を「ランセットの進化の次の段階であり、設計者たちは阻止するのはまず不可能と見込んでいる」と伝えていた。
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翻訳=溝口慈子

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