支援のない歩兵は言うにおよばず、支援の薄い歩兵は簡単に装甲車の餌食になる。戦闘慣れした第47旅団のブラッドレーは11月、アウジーイウカの北方面で熟達ぶりを見せつけている。米国が今年初め、ウクライナの戦争努力におよそ200両の供与を表明したブラッドレーは、第47旅団がもっぱら運用している。
ブラッドレーの主武装である25mm機関砲は、1ポンド(0.45kg)弾を毎分200発、毎秒1100mの速度で発射する。高精細で夜間にも対応した光学機器、精確な射撃統制装置と組み合わされた25mm機関砲は、残酷なまでに効果的だ。アウジーイウカ郊外でのある戦闘では、1両のブラッドレーが、ものの30秒のうちにロシア軍のMT-LB装甲牽引車3両を連続攻撃し、おそらくすべて撃破している。
ウクライナ軍のブラッドレーについて、軍事アナリストのトム・クーパーは「歩兵への火力支援で有効であることを証明した」と解説している。いささか抽象的な言い方だが、要は攻撃してくるロシア兵をたくさん殺しているということだ。
ロシア兵は地下に隠れても、荒ぶるブラッドレーの前では助からないかもしれない。ステポベで地下室に飛び込んだロシア兵たちはおそらく、命中すればひとたまりもない25mmりゅう弾から逃れようと考えていたのだろう。しかし、まさか地下室ごと自分たちを押しつぶしにくるとは思いもよらなかったのではないか。
アウジーイウカに対するロシア軍の歩兵攻撃は、10月の機甲攻撃と同様に成功していない。ロシア軍はアウジーイウカの南北で1.5kmかそこら前進したものの、アウジーイウカを包囲して補給路を遮断することはできていない。一方で、少なくとも1万3000人の死傷者を出している。
ロシア側にアウジーイウカでの勝利を望める理由があるとすれば、それは現時点でドローンと火砲の面で大きく優位に立っていることだろう。そして、米議会のロシア寄りの共和党員らがおよそ610億ドル(約8兆7000億円)の対ウクライナ支援を滞らせるなか、この優位性がさらに強まる可能性があることだろう。
ウクライナにとって状況をさらに厳しくしているのは、隣国ポーランドのトラック運転手や農家がウクライナの同業者に仕事の一部を奪われたと抗議して、いくつかの重要な国境検問所を封鎖していることだ。
ポーランドのドナルド・トゥスク新首相は封鎖を解くのに苦慮しており、ウクライナ軍へのドローンの運送にも数週間の遅れが生じている。ウクライナ向けの資金支出や輸送が1日遅れるごとに、アウジーイウカの防衛は弱まり、攻撃側は勢いづいている。
(forbes.com 原文)