ウクライナ軍の損耗人数はもっと少なく抑えられている。
ロシア軍は戦争拡大後の最初の数週間以来、途方もない損害を被り、ここへてきて損害はさらに拡大しているが、大きな前進は遂げていない。半面、これほどの損害を出しながらも、ロシアの独裁者ウラジーミル・プーチンの体制が崩壊しそうにないのも確かだ。
ジョー・バイデン米政権が今週、機密解除された情報評価文書で明らかにしたところによると、ウクライナ東部ドネツク州アウジーイウカのウクライナ軍守備隊に対する2カ月の攻撃で、ロシア軍はおよそ1万3000人の死傷者を出した。アウジーイウカはロシアが支配するドネツク市の数km北にある町だ。
一方、米国防総省は先に、ロシアがウクライナに全面侵攻した2022年2月からウクライナが半年後に反転攻勢を始めるまでに、ロシア軍の死者は2万人、負傷者は5万〜6万人にのぼったと推定している。
機密解除された文書によれば、戦争拡大から22カ月後、ロシア軍の死傷者は31万5000人に膨れ上がった。アウジーイウカでの犠牲者もそれに含まれる。ロシア軍の兵力は戦争拡大時点で現役と予備役を合わせ290万人だった。その後、兵士を40万人募集している。
ウクライナ軍の死傷者については、ニューヨーク・タイムズ紙が今年8月、米当局者の話として20万人近くと報じていた。ウクライナ軍の兵力は2021年末時点で110万人で、以後130万人に増えている。
米政府によるロシア軍の死傷者数の推計は多すぎると思えるかもしれないが、ウクライナ側による見積もりはもっと多い。ウクライナ軍の集計では、2022年2月から2023年12月までのロシア軍の人的損失は約34万人となっている。
ロシア軍の損害の大きさについては傍証となるような証言もある。アウジーイウカ周辺で戦うあるロシア兵は最近、攻撃を始めた時には仲間の兵士が70人いたが、うち56人を失ったと語っている。