ウクライナ軍の第47独立機械化旅団は東部ドネツク州アウジーイウカの北方面で、早くもその仕事に着手している。
第47旅団の米国製M2ブラッドレー歩兵戦闘車は、ロシア兵を何十人も殺害している。発射速度の速い25mm機関砲でロシア兵を吹き飛ばしたり、地下の隠れ場に慌てて逃げ込んだロシア兵を28tの巨体で押しつぶしたりもしている。
今週、ソーシャルメディアで共有されたウクライナ軍のドローン映像には、アウジーイウカの北郊にあり北方面の戦闘の中心地になっている集落ステポベで、第47旅団のブラッドレーがロシア軍の歩兵突撃部隊とまみえた様子が捉えられている。
ドローンは、廃墟と化しているステポベで、崩れ落ちた家屋の地下室の扉の奥に駆け込むロシア軍の歩兵チームの姿を発見している。ドローンの操縦士はブラッドレー側に、特徴的な緑色のその扉のほうへ向かうよう指示する。3人乗りのブラッドレーは地下室の上まで突き進んでいき、その車体で入り口をぺしゃんこにする。
ブラッドレーはバックギアで後退していき、数発射撃し、発煙弾を放ったあと、向きを変えてウクライナ側の陣地へ戻っていく。
Bradley helps the Katsaps to permanently "fix" themselves in positions near Stepov, Avdiiv direction. #Ukraine️ #ukrainecounteroffensive#UkraineWar#UkraineWillWin#UkraineRussiaWar#Ukraina#Ukrainian#UkrainianArmy#Wagner#Russia#Crimeapic.twitter.com/7hKIczggFs
— Slava Ukraini 🇺🇦 (@tungphat1) December 20, 2023
これは、アウジーイウカ周辺に攻め込んでくるロシア軍に対するウクライナ軍の新たな戦い方である。目新しくはあるが効果的だ。戦闘車両での歩兵の粉砕というのは、ロシア軍の作戦が3カ月目に入るなか、アウジーイウカ攻防戦の無慈悲さと、ロシア側に偏って大きな損害が出ている現状も物語る。
ロシア軍は10月10日、アウジーイウカに対する攻撃を開始した。疲弊した第110独立機械化旅団を含むウクライナ軍守備隊を包囲し、補給路を断ち、軍需品などを欠乏させるのが目標だ。
攻撃は、ロシア軍が計12個前後の連隊や旅団を投入した最初の1カ月が最も強力だった。数十両の戦車や歩兵戦闘車から成る縦隊がアウジーイウカの北方面と南方面に突撃を繰り返した。
だがロシア軍はすぐに、ウクライナ軍が今夏の機甲攻撃で学んだのと同じ教訓を学ぶはめになった。周到に準備された防御、具体的に言えば地雷やドローン、火砲によるキルゾーン(撃破区域)を、戦車などで突破しようとするのはきわめて危険だという教訓である。
ロシア軍はウクライナ軍の攻撃で211両にのぼる車両を損失した。1個旅団分の重装備がまるまる失われたかたちだ。24時間体制で新しい戦車を生産し、冷戦時代にさかのぼる古い戦車の在庫が大量にあるロシアといえども、支えきれないほど高い損耗率だった。
そこで、ロシア軍の指揮官は1カ月後、戦術を変更する。車両での攻撃から、下車した歩兵による攻撃に切り替えた。
これは基本的には悪くないアイデアだった。というのも、ウクライナ軍も今夏の反転攻勢で、小規模な歩兵チームは敵の陣地を側面から攻撃したり、その後方に回り込んだりでき、装甲車では達成できないことをペースは遅いが達成できることを発見していたからだ。