その新しい戦闘機が、間もなくウクライナの手に渡る。オランダ、デンマーク、ノルウェー、ベルギーはこの秋、余剰となった米ロッキード・マーチン製のF-16を供与することをウクライナに約束した。これらの国々はF-16を新しいF-35と交換する。
もしこの4カ国が、すでに余剰となっている、あるいは今後1年ほどで余剰となる可能性のあるF-16A/Bミッドライフアップグレード(MLU)型をすべて供与するとすれば、ウクライナはF-16を60機以上手に入れる可能性がある。
ウクライナ軍のパイロットは、すでにルーマニアと米国の基地でF-16の訓練を受けている。ウクライナは数週間以内に第1弾のF-16を受け取る予定だ。
F-16が60機もあれば、ウクライナは滑空爆弾を投下するロシア軍の爆撃機を追い返すことが十分できる。ウクライナ空軍のセルヒー・ゴルブツォフ准将は今年、「全ての作戦を計画するには、少なくとも中隊1個、航空機12〜16機について話して損はないと思う」と語っていた。
この発言内容はエストニア国防省の結論と一致する。同省は「防衛的な対航空能力を獲得するには、ウクライナは20機必要だろう。2機同時出撃を1日に2回行うために中隊2個に8機ずつ配備し、そして4機を予備・交換用とする」と報告書で指摘した。
F-16はSu-27やMiG-29よりも優れたセンサーや防御のための電子戦装備、武器を搭載している。Su-27のパイロットが約96km先の標的を探知し、射程約72kmのR-27R空対空ミサイルで交戦しても、生き残れないかもしれない。
スホーイは搭載するレーダーのカバー範囲とミサイルの射程を伸ばすために高高度を飛行する必要があるが、その飛行高度ではS-400防空システムの格好の餌食となる。ウクライナ軍のSu-27はポッド状の電波妨害装置を常に搭載しているわけではないため、なおさら危険だ。
F-16は高高度で約130km先の標的を探知し、AIM-120C空対空ミサイルを使えば約60km離れたところから攻撃できる。また、F-16はポッド状の電波妨害装置ALQ-131またはALQ-184を搭載しており、S-400に対してある程度の防御力を備えている。
前線のすぐ後ろを飛ぶF-16の中隊は、ロシア軍機が滑空爆弾を投下するのに十分なところまで接近する前に、ロシア軍機を撃ち落とすことができるはずだ。
だが、ロシア軍はすでに適応している。ウクライナ軍の防空システムのパトリオットかS-300が今月初め、南部オデーサの南約130kmの黒海西部上空でロシア軍のSu-24爆撃機を撃墜した後、ロシア軍はより射程の長い滑空爆弾の開発を開始したと伝えられている。
(forbes.com 原文)