専門外へのリスク発見に期待
──社外取締役に求めることは。金丸:暴走する執行部に対してノーが言えること、CEOの解任や任命ができることは大きい。そういった監督責任をしっかり果たしたうえで誰かが反対意見を言った場合、私はその議案を執行しない。異論が大切だからだ。そして、異論をどこまで押し切るかは、それぞれの社外取締役の方たちの見識で考えていただくべきことだと思っている。
──社外取締役の経歴に対するこだわりはあるか。
金丸:当社は全国の小売り店舗をカバーするほどの大規模ソフトウェアを手がけているので、現場感が残っている方を選出している。大企業のトップなどを経験した人である必要はない。この業界は変化が激しいので、変化が乏しい業界のトップの方に来ていただいても時間軸が合わない。それよりも、中国や南米の海外法人のヘッドをしていた方などに入ってもらったほうがいい。
未知の物事に挑戦してきた人の視点で、「挑戦の度合いが足りないのでは」といった指摘をしてもらいたい。本業に関するリスクは執行部がとる。社外取締役には私たちが気づくことができない専門外のリスクへの指南を期待している。
──取締役会が経営のスピード感を削ぐことはないのか。
金丸:取締役会によって経営判断のスピードが多少遅くなることはある。それでも、私たちは取締役会に議案をかけるときに個別に事前レクチャーをしたりはしない。議案は私もその日に見る。この業界は動きが非常に速いし、事前説明に費やす時間的な余裕などないからだ。
──経営者として心がけていることは。
金丸:基本的にいつも「先を行く」ことを考えている。リーマンショック後はガバナンス強化の動きがあると予測して動いたし、女性活躍推進については07年にかじを切った。女性が活躍する組織にするには、男女ともに覚悟をもってもらう必要がある。そこでオフィス移転を機に、特定のフロアの会議室すべてに映画のヒロインや女性のノーベル賞受賞者の名前をつけた。常に先読みし行動した結果、性別や年齢問わず社員が活躍し、組織も成長した。先読みする姿勢を今後も貫いていく。
金丸恭文◎1954年生まれ。TKCなどを経て89年にフューチャーシステムコンサルティング(現・フューチャー)創業。2016年から現職。安倍政権の「規制改革推進会議」「未来投資会議」、菅政権の「成長戦略会議」メンバーなどを歴任した経験ももつ。
フューチャー◎最新のテクノロジーとビジネスのノウハウをコアに、ITコンサルティング&サービスとビジネスイノベーションの2軸で事業を展開。連結従業員数は2671人(2022年12月末時点)。