CEOs

2023.12.17 13:00

大企業トップの経歴はいらない。社外取に求める「未知への挑戦」経験

金丸恭文|フューチャー 代表取締役会長兼社長 グループCEO

ベンチャー界の旗手であり、長らく政界や財界の「ご意見番」も務めてきたフューチャー創業者・金丸恭文。自ら「普通じゃない」と言い切る、金丸独自のコーポレートガバナンス哲学とは。


──ガバナンスランキングで3位にランクインした。

金丸恭文(以下、金丸会社を立ち上げてから今に至るまで、自力で組織のガバナンスについて考え抜き、実践してきた。コーポレートガバナンス・コードを読むまでもなく、当社のガバナンスはすべての要諦を押さえていると自負している。
 
基本的に、コーポレートガバナンスは小学校の学級委員会や生徒会と変わらない。このメンバーなら組織が良くなると、生徒たちが期待をもてないといけない。
 
もちろん、私は創業者なので成長へのコミットメントやガバナンスに責任がある。そして、私が率いる経営チームに対して社員から共感を得られないといけない。私たちの業界は人材の流動性が高い。もし社員のモチベーションが下がるようなボードメンバーを選んだら、社員はとどまってくれない。私たちのビジネスモデルは知的財産がベースだ。ナレッジワーカーが集まって先端テクノロジーを駆使しながら事業を展開している。投資家の期待に応えるのはもちろん、より大きな社会貢献をするためにもボードメンバーの人選には納得感が必要なのだ。
 
会社経営はチームスポーツのようなものだ。チームメンバーにはそれぞれ異なる役割がある。スポーツ競技では、相手との力が拮抗しているとき、どちらのチームのサポーターが熱心に応援しているかが試合を左右することがある。サポーターをステークホルダーに置き換えて考えると、ステークホルダーから支持されるチーム編成でないといけない。コーポレートガバナンスにおいては、どう編成するとチームワークで最大の結果を出せるかを考えるのが私の責任だ。

──2019年3月に、グループの中核企業であるフューチャーアーキテクト社長に当時40代だった神宮由紀を任命した。決め手は何だったのか。

金丸:社長の人選にはサプライズが必要だ。私たちは毎年、最も優れたプロジェクトを決めるイベントを開催している。18年はハワイで開催した。そのスペシャル企画として、神宮を含めた次期社長候補者10人に「あなたがCEOだったらこの会社をどうしますか」というテーマでプレゼンテーションをしてもらった。その内容を参考材料のひとつにした。
 
さらに、リーダーは政府関係者や大企業の経営者の方々のなかに入ったときに、華がないといけない。神宮は堂々と人前に出ていく。物おじをしない。
 
最後の決め手は、ほかの候補者が神宮より若く、年齢差があったことだ。彼らは神宮の次を担うこともできると考えた。
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文=中田浩子 写真=ヤン・ブース

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