ビズ:主に3点、取り組みました。1つめは、「モラルを正す」。その当時、チームの士気がとても低くなっていた。私は、チームの士気を上げる役割と思われていたのです(笑)。そこで「みんなの士気を上げてくれ」と言われました。チームメンバーに声掛けすることをはじめ、根気よく続けたものです。
2つめは、「会社の目的を明確にすること」。Twitter社は、これまで、そうしたことをしたことがありませんでした。そのため、「なぜTwitter社は存在するのか?」と誰かに尋ねられた時、全員が異なる答えを持っていたのです。会社組織が大きくなったTwitter社にとって、社員がいろいろな方向を向いているのは、決してよいこととは言えないと考えました。
そして3つめは、「コンテンツの適正化と、問題のあるコンテンツに関する方針を作ること」。これを掲げた時、社内では、「すべてのツイートをひとつひとつ丁寧に読むことは不可能だから、対処できないのではないだろうか」という意見が圧倒的でしたが、改善に導いたのです。
とりわけ、私が本当に重要と考えていたのは、「会社の目的を明確な言葉にして、みんなが同じ方向を向いて活動する」という点でした。例えば、ミッションがあった場合、成功するか失敗してしまうか、どちらかですが、目的を持っていたなら、前に進んで持続できるから。哲学や志こそが会社を引っ張っていくということにほかなりません。そこで私は、Twitterの存在を「公共の会話に奉仕する」という発想を思いつきました。提供でなく奉仕。だから、利用者の安全や会話の質に責任を持つべきだと考えたのです。
清水:しのぎを削って働くシリコンバレーやスタートアップの方々から「モラル」という言葉が出てきたのが意外でした。モラルによって、具体的にどう変わりましたか?
ビズ:モラルが下がっていた大きな理由として、Twitter社の利益が出ておらず、会社が稼げていなかった事実がありました。だから才能溢れる創造的な発想力を持つ人間が職場を離れ、会社の成長が停滞していたのです。働き手からは、「Twitterも、Uberも、どこで働いても同じだよね」という意識になっていました。そこで私は、以前に年4回開催していた「Twitter for good」とネーミングしたボランティア・デーを復活させました。この日は、社員が会社を休み、地元でボランティア活動をするのです。
さらに週次ミーティング「ティータイム」も始めました。これは、無料でビールを飲みながら行なうトークセッションで、成功や失敗例を楽しみながら話すと、社員間の絆が深まります。これは、本当に意義ある取り組みだったと思います。すると、会社は利益を出し始めた! また、素晴らしい人材も再び雇用できるようになったのです。