ビールを酌み交わせる人間性と確固たる未来予報図がビズ・ストーンの投資条件
清水:ここで、投資したい人やプロジェクトについて伺いたいのですが。ビズ:人間は、手元に何もない時、最高のパフォーマンスを発揮するきとがあります。ある会合で、ARMの半導体メーカー創設者の隣に座った時のこと。彼は私に「私の成功の秘訣を知りたい?」と言い、話し始めたのです。「時間もお金もリソースも与えなかった私の会社にチームがある時、酷いコンピュータチップを作ってしまった。ところが、それがちょうど出始めていた携帯電話にぴったりだったんだ」。・・・なんと、それが、いまiPhoneに入っている85個搭載されているARMチップとなったそうなのです。つまり、頭でっかちにならずにトライあるのみ。制約があるからこそ、創造性を刺激するといっていいでしょう。
Slackを始めたスチュワート・バターフィールドが、2011年、私に「オンラインゲームを作りたいだけど、投資してくれない?」と相談されました。私は彼が画期的な何かを生み出すことを予感して快く投資したのですが、それがチーム向けのソフトウエアであるSlackだったのです。大切なことは、考えすぎずに、とにかく始めることです。
そして、何かを開発して資金調達したいなら、私なりの絶対的理論があります。中途半端な状態で「◯◯を作りました。数千人ユーザーがいます」とプレゼンするのは得策ではありません。自分自身が思い描く未来予報図、ストーリーを熱く語る方が心を揺さぶられるのです。私は、「その人物が好きか?やり遂げられると思うか?」「その製品やサービスが好きか?世界に存在すべきか?」の2点に着眼しています。
私の人生は、「人」との関わりが大きかったように思います。奨学金で入学した大学を中退した理由は、アートディレクターのスティーブ・スナイダーと仕事をしたかったから。Googleをやめたのは、エバン・ウィリアムズと一緒にオデオ(音声ポッドキャストのスタートアップ)で働きたかったから。そして、Twitterを始めたのは、ジャック・ドーシーと作ったプロジェクトが楽しかったからです。つまり、重要なのは、プロジェクトや資金力でなく「人」なのです。なので、今度、日本に行った時は、一緒にビールを酌み交わしながら、夕食を一緒にしましょう!
清水:楽しみにしています。今日はありがとうございました!