ウェットで、ぷるぷる
実際の模擬臓器を触らせてもらった。実にウェットで、ぷるぷる。柔らかくみずみずしい。生の人間臓器を触ったことはさすがにないものの「自分の体の一部のよう」「生きているよう(死んだばかりのよう)」と感じずにはいられない。ではこの「コンニャク臓器」はいったい、どのように作られているのか?
高山氏は「すべて手作りで行っている」という。
「現状、製造の技術グループのスタッフはパートを合わせて15名。現場ではパート従業員とのチーム制、新人にはトレーニングとフィードバックを繰り返しながら技術を伝えています。製造担当者の前職は、臨床検査技師とか、工場でものづくりをしていたとか、変わったところではパンの開発現場にいて毎日パンを焼いていたとか、色々です。模擬臓器の製作は案外、パンとか和菓子作りに似ているかもしれませんね。
機械化して量産できればプライスダウンも可能かもしれませんが、今はそれよりも製品価値を上げて行きたい。そのためにも手作りで1つ1つ丁寧に作ります」
「外国人来場者の目を輝かせ」「投資家たちのアンテナを震わす」
ではこの「手作りのコンニャク臓器」はいったい、いかにして海を渡ったのか。初めての海外でのお披露目は、2018年、KOTOBUKI Medicalの前身である「寿技研」として出展した、米国フロリダ州での「FIME(Florida International Medical Expo)(57万におよぶi医療従事者、ヘルスケア領域の専門企業、ディストリビューターによって組織される国際的コミュニティー:同展HPより)」だった。ここでも参加者のうち医療関係者はわずか。主に商社やディストリビューターがビジネス上の買い付けで参加していた。
ここでの来場者たちの反応がとにかく驚くほどよかった。アメリカ、ドイツ、エクアドル、メキシコ、トリニダード・トバゴ、エチオピア、中国、韓国、台湾、コロンビア、ブラジル、カナダ、ソマリア、イタリア、ペルー、パナマなどからの来場者がいずれも製品を見てぱっと目を輝かせ、「自分の国で紹介したい」と言ったのだ。
高山氏はこの時、「こんなにみんながすごいすごいと言ってくれるものを、このまま世に出さないわけにはいかない」と思ったという。