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2023.12.06 17:30

海外で大注目、埼玉発「コンニャク製模擬臓器」の意外な使い方と異能の仕掛け人

石井節子

さっそく、FacebookでFIMEの自社ブースの盛況ぶりを写真付きで投稿すると、シェアされたその記事を見て「いいね」を押したあるベンチャー支援家がいた。大和企業投資でベンチャー企業への投資業務を経験、ソラシドエアの設立にも参画した杉浦元氏だ。創業期のベンチャー企業と、NPO等ソーシャルセクターの成長に携わるソーシャルベンチャーカタリストでもある。

当時の高山氏のFacebookの投稿より

当時の高山氏のFacebookの投稿より


これに気づいた高山氏がすぐにメッセンジャーでコンタクトすると、杉浦氏は「本気でやりたいのなら僕も手伝います。でも1つ条件がある。家業である同族会社の寿技研を切り離して新たに創業すること」と言ったのである。

その言葉を受け、2018年11月、杉浦氏を取締役・経営企画担当、そしてジョンソン エンド ジョンソンで手術医療機器のトップ営業、リージョナルセールスマネージャーだった梅本浩利氏を取締役・セールス・マーケティング担当とし、高山氏を代表取締役としたKOTOBUKI Medicalが誕生した。

その後2019年には、株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」で同ファンディング史上最高額の9000万円も達成。わずか数分で最低目標の2500万をクリア、26時間で日本最高記録9000万の資金調達額を達成した(後にキャンセルが出て8930万円)。投資した株主の数は600人近くを数えた。

「献体よりもリアル」? コンニャクを知らない国の人たちが「コンニャクだからこそ買う」!

そして、高山氏が新生「KOTOBUKI Medical」としての最初の海外出展を経験したのは、今年1月、フロリダ州オーランドで開催された「IMSH(International Meeting on Simulation in Healthcare)」だった。奇しくも4年前、寿技研として、模擬臓器を海外初展示したのと同じ会場だ。医療機器メーカーの参加は当然だが、大学の「メディカルシミュレーションセンター」のスペシャリストが全体の半数を占めるという、FIMEよりはアカデミア色の強い国際見本市である。

同社海外PR担当の姫野エリン氏によれば、実際に製品を触った米国人医師が、「これは献体よりもリアルだ」と言ったという。

 KOTOBUKI Medicak 海外PR担当 姫野エリン氏

KOTOBUKI Medicak 海外PR担当 姫野エリン氏

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取材・文=石井 節子 撮影=佐々木 康

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