ミレイは人間の活動が気候変動の原因になるとは考えていないと言うが、いわば“なんでもあり”というタイプの人物でもある。大統領選の討論会ではこう力説していた。「リバタリアン(自由至上主義者)のリベラルとして、わたしは国際貿易とその開放を心から信奉している。世界に対して開かれた国は一般的に、閉ざされた国よりも1人あたり所得が9倍高い。国家は貿易関係に干渉すべきではないとも考える。誰と交易すべきで誰とすべきでないかなどについて、国が口を挟む理由はない」
ミレイは、人々が自分の臓器を売れるようにすべきだとも主張しているほか、親が自分の赤ちゃんを売るのは自由にすべきだという米経済学者マレー・ロスバードの考えも広めた。
未婚で子どももおらず、両親とも疎遠なミレイは現在、10年ほど前にアルゼンチンのクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領(当時)のものまねで人気を博したコメディエンヌ、ファティマ・フローレスと交際している。
ミレイをめぐっては物笑いのタネになるような話もこと欠かない。たとえば、霊媒師に頼んで、2017年に死んだ愛犬コナンとテレパシーで交信したとも主張している。ミレイの伝記作家によると、大統領になるという使命をミレイに告げたのはコナンだったという。
ミレイはコナンが死んだあと必死に代わりを探し、現在飼っている4匹のイングリッシュ・マスチフはすべてコナンのクローンだとされる。いずれもロスバードやミルトン・フリードマンなど自由主義の経済学者の名前がつけられている。何十年にもわたるアルゼンチンの国家主義、ペロン主義者(軍人出身のフアン・ドミンゴ・ペロン元大統領が推進した、労働者重視の左派ポピュリズム政策の路線を支持する人)の支配を覆すには、彼ら全員からの助言が必要になりそうだ。
(forbes.com 原文)