ふくいワインカレッジの存在
日本酒文化の福井で、なぜワイナリーが活発なのでしょうか。その背景には福井県のいくつかの緻密な戦略があります。福井県では、食文化の多様性に伴う将来のワイン市場の拡大、休耕農地の有効活用、移住促進などをにらみ、2018年にふくいワインカレッジを開設しました。「教養コース」(研修期間1年)と、「実践コース」(研修期間2年)と二つのコースがあります。受講料も県が手厚く補助しているので、格安で受講できるのも魅力です。最近では、卒業生たちが福井県内にワイナリーを作る動きが顕在化してきており、とても活発になってきました。
福井県は日本初の全域でワイン特区
ワイン特区とは、ワインを醸造する場合、年間最低製造数量基準が引き下げられるという優遇された地域の事です。一般的には、エリアが部分的に認定されますが、福井県の場合は日本初の県内全域でワイン特区になっているので、小規模なワイナリーの開設が可能となります。その意味で福井県は、今後日本で最もワイナリーの新規参入が期待されている県と言えるでしょう。最近観光の目的が、変化してきたという話をよく耳にします。以前は、観光名所に行くためにその場所に行くという人が多かったですが、最近はおいしいもの食べにその場所に行き、そのあとで観光名所も見るという人が増えてきたという変化があります。それだけ美食に関心を持つ人が増えてきたという背景があると思います。特にその傾向は、インバウンドや富裕層に顕著だと思います。
美食の国福井の挑戦
福井県では、「越前海岸ワインコースト」エリアに、瓶内二次発酵のスパークリングワインを専門に作るワイナリーが計画されていたり、オーベルジュやレストランの誘致も非常に活発です。 特に、数あるフランス料理の国際コンクールの中でも最難関と言われている〈ル・テタンジェ賞〉国際シグネチャーキュイジーヌコンクール アンテルナショナル(パリ)で、史上3人目の日本人優勝者となった堀内亮シェフのフレンチレストラン「ル・ジャルダン」(福井市、えちぜん鉄道日華化学前)には、東京・軽井沢はじめ国内外の美食家が多く訪れています。歴史的に日本酒と和食文化だった福井県に、北陸新幹線福井延伸、将来の食文化の多様性やインバウンドをにらんで、今様々な大きな変化が起きております。美食の国福井の更なる今後の展開がとても楽しみです。