潮目が変わる? 2022年、ワーケーション・地方創生、その中身とは?

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昨年10月に政権が変わり岸田新政権が始まった。分配重視とみられている「新しい資本主義」という概念や、「デジタル田園都市国家構想」など、新たなコンセプトも提示され、これから本格的に地方重視の時代になると期待が高まっている。

今回は経済産業省を経て、現在政策支援・シンクタンク、コンサルティング業務、教育・リーダー育成、那須塩原市、川崎市、沼田市、生駒市、妙高市、軽井沢町、越谷市、魚津市など自治体のアドバイザーなど大変幅広い活動をされている青山社中の筆頭代表CEOの朝比奈一郎さんに、これからの地方創生に欠かせない3つのテーマを語って頂いた。

テーマ1: 新しい資本主義について


鈴木幹一(以下、鈴木):
コロナ禍でテレワークが進み、新しいライフスタイル・価値観を持った人が増え、社会の仕組みも大きく変化してきました。同時に地方に移住する人も増えてきました。そのような状況下、これから日本がどこに向かうのか、気になるところです。元経産官僚でもいらっしゃる朝比奈さんはどのように見ていますか。

朝比奈一郎(以下、朝比奈):岸田政権は、今のところ(1月中旬現在)安定的なスタートを切っていますが、まだ3カ月ですし、コロナの感染も拡大しつつある中で、今後どうなるかは予断を許しません。

そんな中、代表的なコンセプトとして、鈴木さんに提示していただいたとおり、「新しい資本主義」や「デジタル田園都市国家構想」などを打ち出し、これまでと違う雰囲気を出してはいます。具体的には、コロナ禍で背中を押されてのDX化や地方への移住などを加速させるイメージですが、実際には、まだ中身は見えません。

鈴木:新しい資本主義は、どのような展開になっていくのか、特に、地方での生活などと絡めての新たなライフスタイルなどとの兼ね合いはどうなっていくと思われますか。

朝比奈:「新しい資本主義」は、言葉としては大上段の構えですが、なかなか実際的な意味を持たせるのは難しいと思います。世上言われている分配か成長か、という対立軸は決して新しいものではないですし、更に上位概念的に言えば、効率・合理ということを至上命題とするマーケット至上主義から、もう少し国家的統制を強めていくという方向にしても、良し悪しは別として、欧米を全部敵に回しても動じないくらいの中国共産党のような覚悟はありません。

多少、国家の介入によって賃上げを実現する、という程度では、「新しい資本主義」とまでは言えないかと思います。

鈴木:そうなると、なかなか突破口が難しいですね。繰り返しになりますが、今日のテーマに即して言うと地方への移住や豊かなライフスタイル、というのが一つの切り口になりそうですが如何でしょうか? デジタル田園都市国家構想には期待したいところですが。
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文=鈴木幹一

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