この調査で改めて示されたのは、米国ではミレニアル世代のなかでも後半の世代からZ世代の若者たちの間で、「社会主義」の捉え方に重大な変化が起きていることだ。
この変化は、サンダースの主張に刺激を受けたものでもある。そしてサンダースは、その変化を自らの活動に利用してきた。現代的な資本主義への疑念を強める若者たちは、同議員の主張する「民主社会主義」に違和感を持たない。
30歳未満の有権者のうち、「経済体制は資本主義である方がいい」と回答した人は、全体のおよそ40%。「社会主義がいい」と答えた人は34%だった。民主党の支持者に限定すると、社会主義を肯定的に受け止める人は約60%、否定的にみる人は22%だ。
つまり、民主党の候補者指名を争ってきた人たちがサンダースに社会主義者の“汚名”を着せようとしても、そのレッテルを貼られることの“毒性”を有権者に訴えても、それはサンダースの支持基盤にとって、賛辞を受けることに等しいと言える。
また、18~24歳と25~29歳の層を比べると、社会主義を支持する人は、より若い人たちの間でさらに多くなっている。これは、民主党支持者のなかでも白人より早いスピードで人口が増加しているヒスパニック系、アフリカ系の若者たちの間でもみられる傾向だ。
若者にとっての「社会主義」
ベルリンの壁が崩壊したときにまだ生まれていなかった30歳未満の有権者にとって、社会主義者であるとはどういうことなのだろうか? フォーブスの世界を変える「30歳未満の30人」に選出されたクローディア・レッキ(26)によると、それは次のような考えを持つことだ。
「貧しい家庭に生まれた赤ちゃんに裕福な家庭の赤ちゃんと同等の機会が与えられることを、政府が保証するべきだ」
だが、決められた結果ではなく競争における機会の平等を求めるのだとすれば、それは実際には、資本主義社会における平等主義者ということになる。