世界を目指す「社内発イノベーション」事例

逗子市 桐ケ谷覚市長(左)と戸田建設 加反達也氏(右)

コロナは働き方や働く場所、住む場所を大きく変えた。東京都が毎月1日に発表している推計人口を見ると、昨年8月から毎月約1000名、多い時で約12000名減少している。

東京に近接する他県への転出が目立つなか、ワーケーションに積極的に取り組んでいる自治体のひとつが神奈川県逗子市だ。市の施設を活用し、昨年7月から官民連携の実証実験中である。

取り組みの経緯等を桐ケ谷覚市長(以下、桐ケ谷市長)と戸田建設 戦略事業推進室 国内投資開発事業部 国内投資推進部投資推進課 主任の加反達也氏(以下、加反氏)に聞いた。


出会いは必然だった


逗子市は神奈川県の中でも小さいまちながら、1965年あたりから山間の造成地に団地が建設され始めたことを機に人口が増加。高度経済成長期に移り住んだサラリーマン層が出世し、人口1人あたりの所得が全国3、4番目に位置したこともある。今でも住みやすいまちとして知られるが、かつての隆盛は少子高齢化も相まって減速し、この5年ほどは財政危機に見舞われている。

渦中の2018年12月より現職に就いた桐ケ谷市長は、官民連携で市内でのビジネスの活性化を図るとともに、企業誘致や起業支援、活力のある女性が働きやすい環境づくり等を目指す「platform ZUSHI BIZ」を2019年10月に立ち上げたが、ワーケーションもその取り組みのひとつという。


桐ケ谷覚市長

「当初、ワーケーション=旅行地の印象が強かったのですが、東京から1時間の立地で海と山といった自然環境に恵まれ、オンオフの切り替えに適している逗子の特徴がコロナ禍で活かせることに気付きました。逗子を実証実験の場とし、企業が挑戦できる場所に。その活動が国等の助成金の活用につながればと考えています」

時を同じくして、戸田建設では部署を横断しての20〜30代の7名が招集され、新規事業の立ち上げが任命された。そのタイミングで弊社アドライトにコンサルティングの依頼が舞い込み、全国の支店を共に周り、新規事業の創出ワーキングを実施した。ワーケーションはそこで集まった70件もの新規事業案にあったリゾート型シェアオフィスが派生したものとなる。


戸田建設 加反達也氏

「戦略事業推進室として、官民連携や地方創生といったキーワードを掲げていることから、自治体とのワーケーションを進める戦略を固めました」と加反氏。手探りのなかワーケーション自治体協議会に参加している自治体を調査し、関東圏の自治体をひとつずつあたった結果、逗子市の担当部署に接続。2019年末、立ち上がって間もないplatform ZUSHI BIZの勉強会に参加した。

その過程で、逗子市に遊休資産の提供を相談したところ、逗子会館が候補に挙がり、協定書を結んで施設整備に至る。そして、「ON/OFFice ZUSHI」としてオープンしたのが2020年7月。まさにスピード感あふれる取り組みといえる。

文=佐藤 奈津紀

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