軽井沢町長が語る「ウェルネスリゾート軽井沢」の次世代戦略

国の重要文化財に指定されている旧三笠ホテル(旧軽井沢三笠に現存)(写真提供:一般社団法人軽井沢観光協会)

軽井沢町(長野県)は、人口2万1231人(2022年)、大きさも東西12.5キロ、南北14キロととても小さな町だ。そこに別荘(企業の保養所・学校の寮含む)が、1万6312軒(2020年)もある。

今その軽井沢で、様々な変化が起きている。今回はいつくかの変化から読み取れる、今後の軽井沢の次世代戦略について藤巻進町長に聞いた。


国の重要文化財に指定されている旧三笠ホテル(旧軽井沢三笠に現存)、多くの観光客が訪れる観光名所。現在は保存修理工事中で見学不可。(写真提供:一般社団法人軽井沢観光協会)

MICE・観光・リゾートテレワーク戦略


鈴木幹一(以下鈴木):標高1000mの高原リゾート軽井沢は、年間800万人以上もの観光客が訪れる観光立町です。今回のコロナ蔓延により、観光業への依存率が高い軽井沢の経済は大きなダメージを受けました。今後軽井沢は観光だけに頼ることなく、新しいライフスタイル・価値観・知の集積など時代の変化に対応できるような産業構造の多様化が求められてます。

軽井沢では、官民一体となり2016年に「G7交通大臣会合」、2019年に「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」を開催しました。今後は、2023年開催予定の主要7カ国首脳会議(G7サミット)の誘致を目指すと長野県阿部知事と一緒に宣言されました。

また近年、各種フォーラム・学会・企業研修・インセンティブ旅行などMICEが増加、リゾートテレワーク(長野県ではワーケーションの事をリゾートテレワークと呼んでいる)プランも人気となってます。観光の在り方も従来型の観光から、多様性・複合型の次世代型観光への転換が求められています。

藤巻進軽井沢町長(以下藤巻):軽井沢は明治時代中期以降、三笠ホテルや万平ホテルで当時の近衛文麿や渋沢栄一はじめ政財界の方々が集い様々な交流をしていました。それが軽井沢サロン文化の始まりで、当時は軽井沢鹿鳴館と言われていました。さらに大正・昭和になり、別荘にゲストを招いて様々な交流をすると言った別荘文化に進化していきました。今のリゾートテレワークの原点とも言えるでしょう。

このように軽井沢には多種多様な人と人が交流して新しい価値を創造してきた歴史的風土が有ります。サミットはまさにその進化系です。ぜひサロン文化の歴史のある軽井沢で誘致できるよう願っております。

軽井沢はコロナ禍以前まで、年間800万人以上もの観光客が訪れていました。コロナ禍で一気に半減、軽井沢の観光業は大きなダメージを受けました。今後は観光客の数ではなく、客単価を高める仕組み作りや、魅力有る各種アクティビティーなどで地域経済をいかに活性化させるかが重要だと思っております。

同時に軽井沢の観光は、夏季や土日の混雑やオフシーズンの閑散など季節変動や曜日変動が多いのが課題でした。変動が多いと人材の確保など経済的にもロスが多くなります。今後はどのように平準化させていくかがカギになると思っております。

その意味で新しい分野として、リゾートテレワークの誘致には大いに期待しております。ワーカーは土日に仕事をしないので、誘致できるような仕組みが有れば、平準化に貢献できます。
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文=鈴木幹一

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